マット安川 ゲストに評論家・石平さんを迎え、勃発から25周年を迎えた天安門事件の回顧や、最新の中国情勢や日本外交への提言まで、詳しくお聞きしました。

戦後日本を支配した左翼思想は力を失った

安川のずばり勝負」ゲスト:石平/前田せいめい撮影石 平(せき・へい)氏
評論家。中国四川省生まれ、北京大学哲学科卒。1988年に来日し、神戸大学大学院終了後、民間研究機関に勤務。『なぜ中国人は日本人を憎むのか』(PHP研究所)刊行以来、日中問題・中国問題を中心に評論活動を続けている。2007年末、日本国籍に帰化。(撮影:前田せいめい、以下同)

石平 この数年の流れとして、国内の反日勢力が徐々に弱体化していると思います。日本国民がいろいろな問題意識に目覚めたということでしょう。昔のような、国防を語ればすなわち右翼というような雰囲気がなくなってきました。

 安倍(晋三)政権ができてから、例えば特定秘密保護法案が出てきて、多くのマスコミがそれを批判しましたが法案は成立しました。それによって安倍政権の支持率が急落したということもない。彼の靖国神社参拝に中韓が猛反発し、アメリカからもヘンなことを言われても、支持率は安定しています。

 戦後日本を支配してきた左翼的なイデオロギーが力を失ったということですね。集団的自衛権の問題にしても反対運動をしている人はいますが、大半の国民は今日本が直面している状況からすれば容認せざるをえないと考えている。

 日本はGHQによる占領政策以来の束縛から脱して、正常な普通の国に向かっていると思います。

 都知事選で軍事評論家の田母神(俊雄)さんが善戦したことは象徴的です。10年前なら右翼と切り捨てられたはずの彼が、しかも組織も資金もない中で61万票を超える支持を勝ち取りました。20代の若者の多くが彼に票を入れたということも含め、日本が変わりつつあることを感じています。

天安門事件以来の経済成長の中、中国は「時限爆弾」を抱えた

 1989年の天安門事件を境に、中国は大きく変わりました。

 例えば国民を束ねる求心力として「反日」を利用し始めたのも、天安門事件で共産党政権の信用が地に墜ちたためです。それ以前の中国に反日感情は一切ありませんでした。今、日本を敵視しているのは、その後25年間行われてきた反日教育の中で大きくなった若者たちです。