6月20日は国連の定めた「世界難民の日」だった。

 国連で、難民問題を扱っているのがUNHCR(難民高等弁務官事務所)で、その発表によれば、2013年末、世界中で故郷を離れて流浪している人々が、なんと5120万人もいるという。これは、各国政府、NGO、そして、UNHCRが集めたデータを分析、集計したものだそうだが、いずれにしても、第2次世界大戦以来、最悪の状況だ。

意外な世界最大の難民受け入れ国

 世界全体で見ると、一番難民の数が多いのがアフガニスタンで255万7000人、次がシリアで246万8400人。これは、3年半も続いているシリア紛争のせいだが、これ以外にも、シリア国内で安全なところを探して逃げまどっている人が650万人もいるというから、合計900万人のシリア人が故郷を離れてさまよっていることになる。

 その次に多いのが、ソマリアの112万2000人、スーダンの46万9000人とアフリカ組だ。これらの国では、長いあいだの政治の混乱で弱肉強食の無法地帯と化しており、住民は希望も展望も持てないどころか、虐殺やら貧困から逃げ惑っている状態らしい。

 特に去年急増したのが、スーダンと中央アフリカの難民。中央アフリカではイスラム教徒とキリスト教徒が殺し合い、南スーダンではキリスト教の住民が、イスラム国家を標榜するスーダン政府軍の攻撃に晒され、陸続きの国へ逃げている。とはいえ、その陸続きの国さえ、さして安全なわけではない。現在、アフリカ大陸では、政情の落ち着いている国を見つけるのはとても難しい。

 難民船でEUに入ることを試みるアフリカ人はといえば、一番多いのがソマリア人とエリトリア人だ。ソマリアはすでに20年以上も無政府状態だし、エリトリアは憲法もなければ何もなく、国家の体さえなしていない。ただ、報道規制は世界ワースト1位。政府(?)に楯突く者は容赦なく弾圧されるというから、情報統制だけはちゃんと機能している。

避難民5000万人超す、第2次大戦後初めて 「世界難民の日」

レバノン・ザフレのシリア難民キャンプで、壊れたおもちゃの拳銃を持った少年 ©AFP/CARITAS INTERNATIONALIS/MATTHIEU ALEXANDRE〔AFPBB News

 世界中で、一番多くの難民を受け入れているのは、意外なことにパキスタンだそうだ。それからイラン、そしてレバノン。たいていの先進国は遠く、多くの難民にとっては行き着くことが不可能だ。子供など連れていれば、とりわけ長距離の移動は難しい。先進国は受け入れ条件も厳しい。

 その点、パキスタンやイランやレバノンは、多くの難民にとって、距離的に到達可能であり、しかも、先進国ほどの規制もなく、棒と布で雨露をしのぐ掘立小屋を建てることもできる。そんな事情で、難民の86%が、先進国ではなく、発展途上国に逃げている。

 一方、亡命者が選ぶ一番人気のある国はドイツだ。世界全体で110万件の亡命申請のうちの10万9600件が、ドイツで出されている。その次に、アメリカと南アフリカが続く。