アベノミクスは正念場を迎えている。成功するためには女性の社会進出と少子化対策、更には地方の活性化が欠かせない。そうした中で、出産や不妊に悩む女性のサポートを訴える質問に立っていた女性都議を悲しませる野次事案(6月18日)が発生した。
その後は本題追求どころか、該都議自身のかつての野次や都議選などが問題視されるサイドストーリーに発展した。他方で野々村竜太郎兵庫県議の政務活動費問題が発覚するなど、いよいよ都議提議の本題は霞んでしまった。
しかし、少子化は国家の存亡と共に地方自治体の消滅にも関わり、安全保障にも直結する問題であるので、時期を失した感があるが敢えて小論を提示する次第である。
活性化のはずが、国家を衰退させる皮肉
卵が先かニワトリが先かの議論と同じで、出産・子育てサポートができなければ安心して産めないと言う人もあれば、産めばサポートも充実してくると見る人もある。
地方では低年齢での結婚・出産が比較的行われているわけで、都会、特に大都会になるにしたがって、高年齢結婚・出産となる傾向にある。
こうなると、都会の女性、中でも指導的立場に就く女性たちこそ問題意識が高いわけだから「隗より始めよ」の諺どおり、率先して低年齢結婚・出産を実行してもらいたいと思う人士が世間に多いのではないだろうか。
「これで良し」というサポート体制を待っていたのでは、結婚や出産の適齢期を過ぎてしまうであろうし、結局望むような方向になかなか進まないであろうからである。
塩村文夏都議(みんなの党)が「第1子出産の母の平均年齢は東京がずば抜けて高く、32歳に近い。不妊治療を受ける女性も増えている。悩みを抱える女性のサポートを都は積極的に進めていくべきだ」と質問した時、「お前が早く結婚すればいいじゃないか」「産めないのか」などの野次が飛んだ。
同都議が35歳の独身ということを知ったうえで、痛いところを突くつもりで飛ばした野次に違いない。2人以上の子供を持ち、そのうえで国や地方自治体にもの申せば、その迫力はぐっと高まり、今回のような野次に見舞われることもなかったであろう。
机上の試算では女性の社会進出が日本を活性化し、女性の地位向上にも役立ち、憲法の平等の精神にも近づくと見ていた。いろいろな職場で男女が同席し、和やかに語り合う雰囲気は、男ばかりの社会を潤すことは確かである。
しかし、他方でセクハラ問題なども発生しやすくなった。