「もしこの提携が許されてしまったら、グーグルは日本で不動の地位を築くことになる。そこには市場競争などというものは存在しない」
日本国内の大手ポータル「Yahoo! JAPAN」を運営するヤフーが米グーグルと検索やネット広告の事業で提携すると発表したことを受け、米マイクロソフトのデイブ・ヘイナー法務副顧問兼副社長が異論を唱えている。
「日本の消費者の検索が1社に独占される」
ヤフーが7月27日に発表したグーグルとの提携は、同社がグーグルから検索エンジンと、検索に連動して広告を配信するシステムの提供を受け、その一方でオークションやショッピングといったサービスのデータをグーグルに提供するというもの。
ヘイナー氏によると日本における検索市場のシェアは、グーグルが51%、ヤフーが47%。この提携により日本国内の検索市場はグーグル1社で独占されると指摘している。
ヤフーは現在米国ヤフーの検索エンジンを利用しているが、米ヤフーがマイクロソフトの検索エンジンに切り替えることが決まったため、その対応について検討してきた。
ヤフーの株式は、ソフトバンクが約40%を保有しており同社が筆頭株主になっている。米ヤフーは持株比率約35%の第2位株主だ。
日本のヤフーは米ヤフーが直接運営する事業とは異なるため、米ヤフーとマイクロソフトが結んだ契約の影響を受けることはない。つまり、マイクロソフトの検索エンジンを採用する必要はないのだ。
ただ、米ヤフーがマイクロソフトの技術に切り替えた後は、現在利用している検索エンジンと広告システムは米ヤフーからサポートを受けられなくなると米ウォールストリート・ジャーナルは報じている。
つまりヤフーは、マイクロソフト、グーグル、あるいはそれ以外の国内企業のシステムという選択肢について検討していた。
27日に記者会見したヤフーの井上雅博社長は、「1年ぐらいかけて検討してきた結果、日本についてはグーグルを使う方がよりヤフーの成長のためには良い」と述べた。
これに対し、マイクロソフトのヘイナー氏は「日本の消費者がウェブ上で何を見つけて、何を見つけられないのか、それらすべてがグーグル1社に委ねられてしまう。日本は米国、中国に次ぐ第3の検索大国。世界規模で深刻な影響を受けることになる」と懸念を示している。