週刊NY生活 2014年5月24日491号

 米市民向け「沖縄の米軍基地問題と日米関係」と題するトークイベントのため来米した稲嶺進名護市長に来米目的やアメリカに伝えたいとする内容をニューヨークで聞いた。(聞き手/本紙・三浦良一)

-来米の目的は何か

 一昨年、就任2年目で来米した時は、米軍の基地問題に関して沖縄県内と県外との温度差、中央とワシントンの話だけで進む状況のなかで地元の実情が伝わっていないというのが来米の理由だったが、今回は前回と異なり、この問題を取り巻く環境が変わった。昨年12月に県知事が政府が提示した環境アセスメントを受けて埋め立てを承認したことで、アメリカ側に、日本政府から(移設準備が)前進しているとのメッセージが伝わっている。

 日本の国土面積の0.6%しかない沖縄に米軍の専用施設の74%が存在する。その差は500倍。人口は1%だ。沖縄の人間にしてみれば、もうこれ以上は負担を引き受けるわけにはいかないということ、地元の民意に反して強行されることは民主主義に反し、人権をないがしろにしていることを世界が注目している点を改めて分かってもらいたいという思いで来た。

-中国が日本やベトナムなどと領土問題で緊張感を高めているが、アジアの安全という観点から米軍の存在意義も高まっているなかで沖縄はどうこれに対峙するのか

 米軍の役割については誤解がある。辺野古に新しい基地を作ることがアジアの変化に絶対に必要なことか。専門家の話でもアジア有事の際には空軍と海軍が反撃に必要とされ、海兵隊の主力である輸送部隊ではない。

 海兵隊が沖縄以外の場所に移動しても十分機能を果たせ、米軍のアジアにおけるプレゼンスが弱まることはない。米軍がアジアの抑止力であるという根拠はない。日本政府はそれを口実に使っているだけで、これは軍事上の問題ではなく政治上の問題だ。真実が公に出されていない。アメリカだって軍事的に自分たちはここでなくてはならないということではない。

-沖縄だけに負担を強いていることに対して国内の地方自治体はどういう反応か

 知事会や九州市長会、全国市長会で話し合ってほしいと要請してきたが、議題にも乗せてくれない。はっきりと「議題として話し合ってうちの市にくるようなことになっては困る」と言った市長もいた。ノット・イン・マイ・バックヤードだ。日本はアメリカの顔色をうかがう「植民地」で、沖縄は国内植民地という言い方もできる。この不条理を差別と捉え、人権問題としてアメリカの世論に訴えたい。