銀行を舞台とした2013年の大ヒットドラマ「半沢直樹」に続き、今度は部品メーカーの社員が活躍する「ルーズヴェルト・ゲーム」というドラマが放送されている。

 企業が直面する様々な問題に果敢に立ち向かうストーリーなのだが、何気なく見ていたところ、システムの不具合が原因で大量の「誤発注」が生じてしまうというシーンがあった。

 実際にそんなことがあったらとんでもない損失である。大変な状況だなと思って見ていたら、なんと物語の展開は、そのシステムを導入した製造部門責任者が不具合を隠蔽するために、1人の派遣社員にシステム発注ミスの罪を被せるという話であった。フィクションとはいえ、ひどい話である。

 一方で、途中までは「見たことがあるような話」だったのも事実だ。露骨に人に罪をなすりつけることはそうそうないが、システムの不具合を隠そうとするのは決して絵空事ではない。

システムの不具合は「当たり前」なのか

 恐ろしいことに、現在、企業における基幹システムの導入は「不具合があって当然」というものになってしまっている。大変な思いをして設計、構築し、テストに時間をかけても、カットオーバー直後は、実際に数字が合わない、出てこない、などの現象が次々に発生する。

 挙句の果てに、対外的に信用を失墜させてしまうような大問題につながってしまうこともある。その場合は「不具合の責任は誰にあるのか」という問題に発展する。

 ドラマの中では、システムの管轄部門が、システムにバグがあることを隠すために、入力した記録を書き換えるという幼稚な手段を講じた。さらに「システムそのものには問題がなく、人為的なミスによるものだ」という虚為の説明をした。

 もちろんこれは許されることではないが、犯人が特定でき、責任を重く受け止めているという点ではまともである。現実の世界では「不具合は当たり前」という風潮があり、さらにはその責任そのものがうやむやになるケースが多いのだ。