長い間、世界中の財界に有能な人材を送り出してきた米国のMBA(経営大学院)プログラムの半数が姿を消すという予測は、ショッキングですらある。

 この予測は学究的な研究所が発表したものではない。今年3月、米カリフォルニア州立大学バークレー校ハース・ビジネススクールのリチャード・ライオンズ学部長が、今後の展望として述べたものだ。確実にそうなるというものではない。

授業料がはるかに安いオンラインMBA

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米ハーバード大学の卒業式〔AFPBB News

 けれどもその背景を探ると、今後のMBAのあり方だけでなく世界の高等教育の形さえ変わる可能性さえはらんでいるのだ。

 それでは、なぜMBAの校数が少なくなるというのだろうか。最大の理由はオンラインMBAの登場である。インターネット経由でMBAのカリキュラムを履修し、MBAの資格を取得する流れが強まっているのだ。

 正確に記せば、MBAというプログラムが姿を消すわけではなく、キャンパスに通う従来型のMBAが少なくなるということだ。

 オンラインMBAが人気を博している理由を端的に述べると、授業料の安さと通学する必要のなさにある。

 例えば、USニュース&ワールドリポート誌がまとめた2014年版のMBAランキングで21位のインディアナ大学は、正規のプログラム(2年間)の授業料が9万3000ドル(約950万円)であるのに対し、オンラインは6万1200ドル(約624万円)だ。

 同じ資格が取れるのであれば、オンラインでの履修を考える学生が増えるのは当然に思われる。

 同ランキング19位のノースカロライナ大学チャペルヒル校の授業料(2年間)も通学組が11万1092ドル(約1133万円)であるのに対し、オンライン組は9万6775ドル(約987万円)で1割ほど安い。

 学生数を眺めると、特にインディアナ大MBAの差異は顕著だ。2014年度のオンラインプログラムの履修者は1072人。通学組の2倍以上の学生数だ。同校がオンラインでMBAプログラムを履修できるようにしたのは1999年のことで、全米でも先駆的な学校だった。