4月11日、新しいエネルギー基本計画が閣議決定された。特徴的なのは原発を「重要なベース電源」と定義しながらも、省エネルギーや再生可能エネルギーの導入や、火力発電所の効率化などにより、エネルギーのベストミックスを行うことを提唱したところだ。

一橋大学 大学院商学研究科教授
橘川 武朗(きっかわ たけお)氏

 このエネルギー基本計画をどのように読み解くべきか。日本のエネルギー産業の専門家である、一橋大学の橘川武郎教授に話をうかがった。

 「ひと言でいうと『木を見て森を見ず』といえるのではないでしょうか。ミクロの部分では今までの基本計画よりもよくできていると思います。原子力、石炭、石油、ガス、水素、再生エネルギー、それぞれの重要性について書いてあります。しかし、国民が期待していたのは、個別のエネルギーにどのような優先順位をつけるかという全体像のはずです」

 確かにエネルギーのベストミックスを謳いながらも、具体的にどのような比率でミックスしていくのかという像は描かれていない。

 では、橘川教授はどのようなミックスが最適と考えるのだろう。

 「『コージェネレーション15%』は計画に入れてもいい数字だったと考えます。コージェネ15%は、民主党が政権時代に提唱した、原発0%シナリオ、15%シナリオ、20~25%シナリオ、いずれのシナリオでもコージェネ15%は一致していた点です。実際、今後の日本のエネルギー政策を語るうえで、コージェネは力を入れなければいけない分野です」

 コージェネの説明は後回しにするとして、なぜコージェネに力を入れなければいけないのか。それは、推進・反対のイデオロギーを抜きにしても、稼動する原子力発電所の数が減るという現実があるからだ。