ミシュランのレストランガイド2014年によれば、ドイツ国内のレストランが得た星数は274と欧州で一番多いフランスに次ぐそうだ。

ミシュラン2つ星獲得などの活躍が注目されるドゥース・シュタイナーさん(写真は全て©Fotograf Michael Wissing)

 ドイツは、前年比で新たに43の星を得た店が登場し、3つ星レストラン11店、2つ星レストラン9店をはじめ、多くの優れた料理人が登場し、腕を競い合っている。

 なかでも注目されているのが、ドイツ南部フライブルク近郊にレストランHirsch(ヒルシュ、鹿の意味)を構えるドュース・シュタイナー(Duece Steiner)さんだ。女性シェフとして国内でただ一人2012年から2年連続で2つ星を獲得しているからだ。

 「フランス料理を基本にした野菜やハーブをふんだんに使った創造性豊かなニュージェネレーション料理人」として、20年前から3つ星を持つドイツ最高峰カリスマシェフのハラルド・ヴォールファールト氏もドゥースさんを絶賛する。

 2つ星レストランといえば、値段も敷居も高いだろうなとしばらく訪問を懸念していたが、好奇心と食欲にそそられて、話題のレストランHirschへ出かけた。

料理が大好きで父のレストランを引き継いだ

 フライブルクから車で20分ほど南へ走ると、黒い森地方のズルツブルクに到着。人口2600人ほどの小さな村にあるレストランHirschの佇まいは、地方でよく見られる木組みの家並みが続く大通りに位置するごく普通のレストランと変わりない。

 だが、中に入ると、さすがに2つ星の威厳を誇る落ち着いた雰囲気で、格調高い家具や絵画が配された優雅な演出がなされている。サービススタッフの対応は家族的で心地よく、ランチタイムに訪れた私を予約席まで案内してくれた。

 すぐに、ドゥースさん(43歳)がキッチンから笑顔でテーブルまでわざわざ挨拶に来てくれた。12時過ぎ、続々と客が到着しているなかで、「忙しいところ大丈夫ですか?」と私のほうが恐縮してしまうほどだった。

 「何か質問ありますか? まずは料理を楽しんで下さったほうがいいかもしれませんね。その後、いろいろ聞きたいことが出てくるでしょうから。それではまた後で」