2月21日、フランクフルト空港がまた壊滅状態になった。空港の警備に当たっている民間会社の従業員たちのストで、空港は終日、ほとんど完璧に閉鎖されてしまったのだ。
Ver.di(サービス産業労組)という組合が、フランクフルト空港の警備に当たっている民間会社の従業員に、午前2時より午後11時まで一切の仕事をしないよう指令を出した。これにより、搭乗前の手荷物検査はもとより、貨物の検査、空港の警備、そして、警備に関するサービス部門がまったく機能しなくなった。
フランクフルト空港の運営を取り仕切っているフラポート社は、フライト客に対して、早めに航空会社に連絡を取り、対策を講じるよう要請。フランクフルトでの発着便の3分の2を占めているルフトハンザ航空も、鉄道など他の手段に切り替えるよう乗客に呼びかけた。「申し訳ありませんが」とか「ご迷惑をおかけしますが」という言葉は、どこからも出ない。
フランクフルト空港はドイツで一番大きな空港だ(ヨーロッパで3番目)。平日1日の発着数1300便で、警備に従事している人数は5000人。その5000人のほとんどがストに突入したため、183カ所ある手荷物検査のうち、開いたのが辛うじて20カ所。
そこでは、トランジットの人だけが優先的に検査を受け(EU、およびシェンゲン協定加盟国以外の国から入国した乗客は、接続便に乗る前にもう一度手荷物検査を受けなければいけない)、フランクフルトから搭乗する人間は、検査台までたどり着けないまま、足止めを食らった。
それでも、旅行の途中で行くところが無くなってしまった人や、どうにかなるかと期待してやって来た人が、わずかに開いていた手荷物検査の列に殺到した。長時間立ち続け、疲労困憊の上、気分が悪くなる人が続出し、救急隊が出動。
行列は、結局、遅々として進まず、待機していた飛行機は、乗客を積むことができず、欠航が相次いだ。もちろん、これは世界中の他のフライトにも影響を及ぼした。
サービス業から公職まで労組が強大な力を持つドイツ
ドイツはストが多い。経済・社会学研究所(WSI)によれば、2013年、ドイツでストに参加した人の数は100万人。延べで55万1000日の労働日が失われた。それでも、この数字は前年に比べると少ない方で、12年はストに参加したのが120万人、失われた労働日は63万1000日。
中でも一番頻繁にストを打ったのが、フランクフルト空港と同様、Ver.diの傘下のサービス業種で、スト全体の80%を占める。私なら、「ストばかりして何がサービスだ!?」と言いたくなるが、ドイツではサービス業とはお客のことを考えるものであるという認識もないため、そういう疑問は誰も感じない。ドイツのサービス業とは、製造業ではないというぐらいの意味しかない。