最近、日本国内で、外国人労働者の受け入れ拡大に関する議論が賑やかだ。

 背景には、建設業の労働者の深刻な不足がある。東日本大震災の復興事業や東京オリンピックの招致に伴い建設需要は拡大している。一方、少子化や若者の建設業ばなれの結果、建設業界では、仕事があっても人を集められないという状況だ。

 知り合いの建設会社の社長は、70歳以上の引退した労働者に頼み込んで働いてもらっていると言っていた(この話をベトナム人にすると、日本人の勤勉さを称賛する声と、老人を酷使する非儒教的な態度を非難する声が相半ばする)。

 安倍政権は、建設業の人材不足を補うための緊急対策を検討している。対応策は、「外国人技能実習制度」の拡充だ。

 この制度の本来の趣旨は、アジアなど途上国へ日本の技術を移転するための技術支援の制度だ。製造業などの分野で働く途上国の若者を日本に招聘し、最大3年間、受け入れている。この受け入れ期間を現在の3年から5年に延長したり、再入国を認めたりして受け入れる案が政府で検討されている。

 実は、この政策の行方については、ベトナム関係者も注目している。なぜなら、外国人労働者の受け入れ拡大が決まれば、ベトナムから日本にどんどん労働者を送りたいと考えている関係者も多いからだ。

 個人的にも、この制度が拡充されたら、日本は真っ先にベトナム政府との2国間の議論を進めていくべきではないかと思っている。それぐらい、ベトナムからの労働者派遣は両国にとってのメリットが大きい。

 ちなみに、外国人労働者の受け入れそのものは、日本にとっては難しい意思決定だ。その是非はここでは議論しない。本稿では、仮に日本が受け入れ拡充という方針を取った場合のベトナムのポテンシャルについて考えたい。

労働者派遣にやる気満々のベトナム

 日本がどれだけ労働者を受け入れたくても、送り出す国側にインセンティブがなければ、派遣は成立しない。恋愛と同じだ。その点、ベトナム側の日本への労働者派遣には、相当やる気が感じられる。

 例えば、弊社(DI)が産業誘致のアドバイザーをしているベトナム南部のバリアブンタウ省の幹部は、「人材育成につながる上、日本との関係強化につながる。要請があれば、何百人単位でも送ることは可能だ」と諸手を挙げて歓迎する。

 また、ある現地住宅メーカーの幹部は、「ベトナムの住宅建設技術はまだまだ低い。日本の住宅建設の高い技術を学ぶことには企業としても非常に関心がある」と言う。これらに限らず、積極的に賛成するベトナムの省政府・企業は多数いるだろう。