30〜50代のビジネスマンは、収入が増える一方、教育や住宅、介護など、何かと出費も多くなる年代。お金のことをもっと知り、もっと賢くつき合いたい。 そこで、“お金のプロ”ともいえる、フィナンシャルプランナーの荻野奈緒美さんとじぶん銀行の伊藤真都史氏に、「賢いお金の使い方」ついて対談してもらった。
30~50代のうち貯蓄ゼロ世帯が3割弱も
キャスター、女優のほか、ファイナンシャルプランナーとしても幅広く活躍
荻野 30〜50代は、収入も多くなりますが、人生でもっともお金がかかる時期だといわれています。ライフステージとしてお子さんがいらっしゃる方は教育資金も大変ですし、住宅購入のための資金が必要になる方も多い年代です。また上司や部下、取引先との付き合いも増えてきますよね。
伊藤 うちも、息子が2人いまして、来年の春は、それぞれ大学、高校に進学しますが、もし2人とも私立に入った場合には、家計面を考えると少し憂鬱ですね(苦笑)
荻野 まさに伊藤さんの世代ですものね。
国民の貯蓄額を高額預金者の影響を受ける平均値ではなく、実態に近いと言われる中央値でみると、貯蓄額はそれぞれ30代で200万円、40代で360万円、50代で400万円程度となっています。文部科学白書を見ると子供が高校生や大学生を抱えている家庭の平均貯蓄率はゼロからマイナスになっています。この世代で25~29%の世帯が貯蓄がゼロだそうです。
伊藤 30~50代というのは、住宅ローンや教育費などの支出も重なり増えますし、会社でも相応の役職になりますから、取引先や上司との付き合い、ゴルフや部下の結婚式など、今まで以上に支出が増える年代だと思います。
荻野 この年代の方は、奥さまがご主人のお小遣いを管理されている方も多く、お小遣いの月平均は昼食代込みで3万6000円くらいだと言われています。
ここからお付き合いの費用も捻出するのは大変ですよね。総務省の家計調査報告によると支出は、前年同月比で実質1.1%増加、実収入は前年同月比で0.6%減少。出費が増えて、収入が減っている傾向にあるということですから、厳しい時代だと言えます。