この原稿を書いている時点で、とうとう2月に入ってしまった。カンボジアで初めての大学対抗ロボットコンテスト(以下ロボコン)まであと2カ月を切ってしまったのだ。気持ちはかなり焦り気味である。

想像以上に複雑だったロボコン用パーツの調達

 ロボコンは、テレビで言えばゴールデンタイムの2時間の特別番組を作るようなものだ。今でこそ、どこの番組もだらだらと放送時間が長くなって、3時間、4時間なんていうのはざらだけれど、私が日本でテレビ番組をやっていた頃は、2時間番組というのは制作費も桁が違っていて、局の力の入れ方もいつもとは全然違う。

 とにかく、面白くて、質も良くて、数字(視聴率)が取れるものを作るというのが大命題で、準備にも最低3~4カ月、あるいはそれ以上かけて、スタッフも精鋭を集め、番組をどう作るかについては侃々諤々と議論したものだ。

 しかし、カンボジアで2時間特番並みのものを初めて作ろうとしているのに、なんだかやっぱりのんびりしているんだよなあ。いいのかね?

 例えば、スタジオの美術セットをどうするか。日本では、とにかく職人気質の美術担当がいて、「そんなんじゃ間に合わないよ。早く打ち合わせしようよ」なんて叱責を受けながら、早々に打ち合わせして準備していたのに、ここカンボジアでは誰も美術セットのことなんか気にしていない。いったいどうなるんだろう?

参加校の1つ、NTTI(National Technical Training Institute)でもロボットの試作は始まっている(写真提供:筆者、以下同)

 しかし、そんなことより何より、大問題なのは参加者がロボットを作るために使うパーツが届かないことだ。

 以前も書いたが、日本のロボコンはルールが細かく規定され、そのルールに従って参加者側がロボットを製作するためのパーツを自ら集める。

 しかし、カンボジアではロボットを作るためのパーツを店で購入することすらできない。そんなものを取り扱っている店がないからだ。