前回も書いたが、3月29日(土)に開催予定の第1回大学対抗カンボジア・ロボットコンテスト(以下ロボコン)の参加者に配るパーツはまだ届かない。でも、他のもろもろの準備は、「何となく」走り出してはいる。スロースターターのカンボジアでも、ゆっくりとだけれど確実に物事は動きだしているのである。

 国営テレビ局の副局長、通称「松平の殿様」がデザインした大会ロゴも出来上がった。英語表記である「Cambodia Robocon 2014」と、カンボジアの言語であるクメール語表記のものと両方作成した。殿様、至極ご満悦のご様子である。

クメール語には「ロボット」を表す言葉がない

 しかし、このロゴ制作のときに問題になったのは、「ロボット」に当たる言葉がクメール語にはないということだった。

 最初にオフィシャルウェブサイトに掲載したクメール語表記は、殿様に言わせると、「人間の形をした機械」という意味合いで、今回のライントレース型ロボットのような車状の形のものは、「イメージと違う」と言うのである。

 そもそも、クメール語というのは日本語のように漢字があるわけではないので、新しい概念のものが世の中に登場すると、それを説明するような言葉を重ねてそのものを表現する言語なのだそうだ。

 例えば、日本語では一言で済む「酢」と言う言葉は、クメール語だと「酸っぱい水」。説明そのままがそれを表す言葉になるのである。だから単語そのものが長くなってしまうのだ。

 今回のようなロボットを表現しようとすると、適当な言葉が見つからない。ロゴにしたり、これから長く皆にその大会の名前を浸透させるのに、「人間の形をしてるわけじゃないけど、自分で動いちゃう機械」みたいな、なが~い名前になってしまうのは不都合である。

カンボジア「ロボッ」コンのクメール語版ロゴ(画像提供:筆者)

 参加大学の指導教官も含めていろいろ討議した結果、「ロボッ」という発音をそのままクメール語表記にしようということになった。「ロボ」でも「ロボット」でもなく、「ロボッ」である。

 もちろん、作っている学生たちは理解できるが、一般の人にはこれを機会に「ロボッ」がどういうものか、ロボコンを通して知ってもらおう、ということにもなった。