機は熟した、
サハリンの天然ガスをパイプライン輸送せよ

シェールガスに代わる日本の切り札

2014.01.31(金) 藤 和彦
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 稚内の北方約40キロメートルにあるサハリンの、東部海岸沿い(北緯52度近辺)の浅い海底下に、天然ガスが眠っている。東京からサハリンまでは、津軽・宗谷の2つの海峡を挟んでいるがほとんど地続きと言ってもよく、直線距離で沖縄より近い(東京~サハリン間は直線距離で約1900キロメートル)。

サハリン島・北緯52度付近

 このように日本から極めて至近距離にあるサハリンの天然ガスは、1980年代から日本とロシアの共同事業によって発見され、米エクソンモービルや英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルといった巨大石油会社も事業に参加してきた。

 天然ガスの現在の確認可採埋蔵量は2兆110億立方メートル(「サハリン1」プロジェクトの区域が4850億立方メートル、「サハリン2」区域が5000億立方メートル、「サハリン3」区域が1兆260億立方メートル)であり、日本全体の天然ガス消費量の約20年分である。サハリン2からは既にLNGという形で日本をはじめ、中国・韓国などにも供給されている。

 サハリン1では、2000年前後にエクソンモービルがサハリンから北海道を経由して首都圏に結ぶパイプライン輸送を提案したが、主要な買い手である電力業界が拒否した経緯がある。天然ガスの国際パイプライン敷設をきっかけに、日本にも電力自由化の波が押し寄せ、料金値下げ圧力が高まることを懸念した電力業界がこの提案を拒否したとするのが関係筋の見方である。

 だが、現在は全国の原子力発電所が運転停止となり、火力発電所の天然ガスの需要が急増している。また、買い手側にとっては調達方法の多様化が喫緊の課題であり、10年前と状況が様変わりしている(2000年当時の構想は、漁業補償の面で問題がある海上ルートであったが、現時点では国道など陸上にパイプラインを敷設する計画である)。

 資源エネルギー庁幹部も「新たな選択肢としてパイプラインがあれば、非常に意味がある。何とか前に進めたいという気持ちを強く持っている」として、10年来の同庁の方針変更を表明し、民間企業側の前向きな取り組みに期待する姿勢を鮮明にしている。

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経済産業研究所上席研究員。1960年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒。通商産業省(現・経済産業省)入省後、エネルギー・通商・中小企業振興政策など各分野に携わる。2003年に内閣官房に出向(エコノミック・インテリジェンス担当)。2016年から現職。著書に『日露エネルギー同盟』『シェール革命の正体 ロシアの天然ガスが日本を救う』ほか多数。

エネルギー戦略

20世紀の社会を築き、支えてきた石油。しかし世界的な環境意識の高まりの中で、石油依存社会の限界が明らかになりつつある。石油はいまどうなっているのか。石油社会の次を築き、新世紀を切り開くイノベーションは何か。その最先端の姿をリポートする。

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