昨今の「データサイエンティスト熱」は思いのほか長く続いている。「データサイエンティスト」とは、ソーシャルメディア等の膨大なデータが企業や組織に蓄積されていくなかで、それを分析して意味あるものにする専門職のことだ。

 数年前に米国でその必要性が叫ばれ始め、それが日本にも波及し、「ビッグデータ」の隆盛とともに多くのメディアで同様に語られるようになってきた。

 データが多かろうが少なかろうが、定形であろうが非定形であろうが、「分析をする」という業務は以前から存在する。そのため、筆者は一時的な流行りワードだと見ていた。

 しかしその後、各種メディアで特集が組まれたり、自社でのBI(Business Intelligence)要員の募集にも自称「サイエンティスト」からの応募が増えたりしているところを見ると、1つのカテゴリーとして確立しつつあるのかもしれない。

 ただ、その「定義」については、人によって様々な捉え方があり、いまなお明確にはなっていない。

計算よりも実務感覚が大切

 ある雑誌で、「統計やITの知識がある人がデータから答えを出してしまうので、文系のコンサルタントは不要になるのではないか」「マーケターも統計分析ができる理系でないといけない。これからは理系の時代だ」といった論調を目にした。

 これは1つの見方ではあるが、実務の現場にいる筆者としては手放しで同意することはできない。