メア氏は日本研究者から弁護士となって、国務省入りした元外交官で国務省の日本部長をも務めた。2011年3月には、沖縄の基地問題に関する沖縄県民への批判的発言などを理由に更迭され、退官した。現在は米国の高速鉄道建設にかかわるコンサルタント企業に勤務している。

 そのメア氏の見解を紹介するのは、米国側にも日本の首相の靖国参拝に関して多様な反応があるという現実を日本側に伝えたいからである。この種の見解は朝日新聞などは決して報道しない。

 メア氏はまずネルソン・レポートに安倍非難の見解を寄せた人たちの主張を取り上げ、それらへの反論という形で自分の意見を述べていた。

 「(この場に安倍非難のコメントを寄せた)ほとんどの人たちは安倍首相自身が参拝について説明した声明を読んでいないようだ。この人たちは安倍首相が靖国神社と同時に鎮霊社をも参拝し、『戦争で亡くなられ、靖国神社に合祀されない国内、および諸外国の人々の霊をも悼んだ』ことを無視している。安倍首相はこの声明でさらに『日本は二度と戦争を起こしてはならない。私は過去への痛切な反省の上に立って、そう考えています』と述べているのだ」

 「この場(ネルソン・レポート)の論評者たちが完全に無視した、もう1つの極めて重要なポイントは、安倍首相が『ある人たちは、私の靖国参拝が戦犯を崇拝するためだと批判しますが、私が安倍政権の発足した今日この日に参拝したのは、政権1年の歩みと、二度と再び戦争の惨禍に人々が苦しむことのない時代を創るとの決意を英霊にお伝えするためです』と述べていることだ」

 「この点はなぜ(この場の議論で)伝えられないのか。たぶん批判者たちにとっては、安倍氏を右翼の軍国主義者だとする決めつけにこの言明は合致しないからだろう。戦争で命を亡くしたすべての人に祈る。過去を反省する。不戦の誓いを新たにする。この種の特徴は極右の軍国主義者ではない。だから批判者たちはその安倍氏の言明を無視するのだろう」

 メア氏は安倍首相自身が公式に発表した参拝の説明について、米国側の評者たちがその最重要部分をまったく無視していることを指摘し、その態度は彼らの「安倍は軍国主義者」という決めつけにそぐわないからだと冷静に述べるのだ。