増強著しい中国海軍は、日本周辺の海域で米国や日本の海上戦力を圧倒するまでに至ったのか。世界最強とされてきた米国海軍は、日本周辺の東アジア海域で中国海軍に比べてどのような軍事地位を保っているのか――。
米国側の専門家集団から、東アジアでの最新の海上戦力図の分析が明らかにされた。
その分析によると、米海軍は海上艦艇や潜水艦の能力では中国海軍になお確実な差をつけているが、全体の艦艇数では中国に水をあけられ、弱点を突かれそうな領域も少なくないという。
「屈辱的な事態」を契機に強化路線へ
日本周辺など東アジア海域での米中海軍の戦力比は、12月上旬の米中両国艦艇の異常接近と対決によって一気に高い関心を呼ぶようになった。
南シナ海で米海軍のイージス巡洋艦「カウペンス」が12月5日、中国側の空母「遼寧」の訓練を偵察のため追尾していたところ、中国海軍の水陸両用艦から停止を命じられた。公海上のため「カウペンス」は所定の航路を前進したが、中国艦はその前方500メートルほどの至近距離に立ちふさがる形を取り、前進を阻んだ。このため「カウペンス」も緊急停止し、米海軍は中国側に「国際合意を無視する危険な妨害行動」だとして抗議した。
この事件により中国海軍の増強ぶりと、それに基づいた米側への大胆な対抗行動が注目を浴びるようになった。中国側がこうした行動に出るのは、東アジアの東シナ海や南シナ海で中国海軍が初の空母「遼寧」を実戦配備したように、近代化の名の下に戦力を大幅に強化していることが土台となっている。
中国海軍はここ20年ほど一貫して増強を進めてきた。それまでは小艦艇の寄り合いの「沿岸海軍」に過ぎなかった。