伝説の英国のコメディチーム、モンティ・パイソンがステージに帰ってくる。11月21日、「コメディ界のビートルズ」とも呼ばれた彼らがロンドンで記者会見を行い、来年7月再結成公演を行うことを発表した。
発売されたチケットは43秒で完売
1980年9月のハリウッドボウル以来のステージ、映画『人生狂騒曲』(1983/日本劇場未公開)から数えても30年以上となる。
25日に発売開始となったチケットはわずか43秒で完売。新たに設定された4回の追加公演分も55分で売り切れる人気ぶりで、既に70才を超えた彼らの存在の大きさが見て取れる。
そんなニュースが流れるなか、日本では、先週末から、『モンティ・パイソン ある嘘つきの物語 ~グレアム・チャップマン自伝~』(2012)が劇場公開されている。
メンバーの1人、グレアムが1980年に発表した自伝のアニメーション映画化で、劇中、「話の中に真実は、かけら程度」と断っているように、一体どこまでが事実なのか、本人のみぞ知る、といった冗談ぽい作品である。しかし、当のグレアムは、メンバー中、唯一の故人。この作品も、残された声などを使って製作されている。
そんなグレアムは、ケンブリッジ出の医師という超インテリだが、このモンティ・パイソンの面々は、『未来世紀ブラジル』(1985)の監督として知られる米国人テリー・ギリアム以外、皆、オックスブリッジ(ケンブリッジかオックスフォード)出身者。
そんな頭脳集団の作り出すコメディは、一見、実にばかばかしい。しかし、そこには、知識に裏打ちされ、計算し尽くされたシュールでブラックな笑いがある。
子供には何だかよく分からないところも多いのだが、そのクダラナさだけでも十分ウケる。そして、大人たちも、笑いの裏にある知識をひけらかすこともないスケッチ(コント)で、気がつけば、知識や批判精神までも備えている、といったことも少なくない。
彼らが扱うテーマは権力、殺人、いじめ、戦争、性、狂気、病気、差別など、アンタッチャブルなもののオンパレード。こうした「ブラック・コメディ」は、ジョナサン・スウィフトの時代から長く続く英国の伝統とも言えるものである。
戦中生まれのパイソンズのメンバーに、まず、その批判精神を注入したのが、1950年代大人気となったBBCラジオの「The Goon Show」。