日本でほとんど報道されない世界の出来事が少なくない。

 米カリフォルニア州サンフランシスコ市のビーチで10月19日、約500人による人文字が描かれた。「フクシマはここに!」という人文字だ。

福島第一原発からの流出放射能を憂慮する北米西海岸

福島原発で新たな汚染水漏れ、東電発表

福島第一原発で港湾内の放射性物質が海へ拡散するのを防ぐため設置された「シルトフェンス」〔AFPBB News

 彼らが憂慮しているのは、福島第一原子力発電所から流出した放射性物質が米西海岸に辿り着いていることだが、むやみに日本を非難するのが目的ではない。

 今回のイベントの代表であるジーナ・ブルックスさんは、「太平洋を挟んで、日米両国の市民は同じ憂慮を抱き、ストレスを抱えている。だから福島の問題は日本だけではなく、こちらでも同じですということを伝えたかった」と述べる。

 ただカナダから米国沿岸にかけて目に見える形で異変が起きており、住民たちは心配を隠さない。

 その1つがカリフォルニア州南部に生息するアシカの異変である。今年6月に生まれた子供の45%が死亡したという。

 シアトルにある米商務省の海洋大気局(NOAA)海上漁業局の海洋学者シャロン・メリンさんは、「死亡率の高い年でも30%です」と地元メディアに語っている。放射性物質と何らかの関連性が疑われている。

 アーカンソー州に本部がある「核エネルギー追跡センター」はその他の異変をまとめて報告している。カナダのブリティッシュコロンビア州の紅ザケの収穫量が過去50年で最低だという。

 例えば、スキーナ川流域には毎年約240万匹が遡上するが、今年は45万3000匹にまで落ち込んでいる。そのため商業ベースとリクリエーショナルの両方で禁漁になった。

 魚類に確認される変異は紅ザケだけでなく、カナダから米西海岸で水揚げされた多くの魚のエラと目に出血が見られるという。