「御用聞き」ビジネスに進化する食品移動販売

過疎地、山間地だけでなく都市部でも高まる需要

2013.11.01(Fri) 白田 茜
筆者プロフィール&コラム概要

 街角にときどき現れる可愛らしいワゴン。車にはエスプレッソマシンが積まれていて香ばしい。店主が客と会話を交わしつつコーヒーを出している・・・。

 このような「移動カフェ」など移動販売が今にわかにブームだ。実店舗を構えないので、初期投資も安く低コストと言われている。

 しかし、行政の許可や営業場所の確保などハードルもある。また、同じく移動販売の行商や引車の商売の取り締まりは厳しくなっている。規制や問題点を挙げながら、移動販売の“いま”を見てみたい。

移動販売は営業許可が必要

 住宅地やオフィス街、イベント会場でコーヒーやハンバーガーを売る車を目にする。

 移動販売であれば、オフィス街やイベント会場など需要がありそうなところに自ら出向くことができる。初期投資が少ないので参入しやすいという利点も言われる。移動販売車は近年急増中だ。東京都福祉保健局によると、移動販売車の台数は都内で1992年に1344台だったのが、2012年には3203台と2倍以上増加している。

 移動販売には、車だけでなく、「行商」「引車」という形態もある。行商は、人が移動して商品を売るもの。引車はリヤカーなどを引いて商品を売るものだ。ガード下のラーメン屋などの昔ながらの屋台は、引車に簡素な小屋を載せたもので引車に分類される。

 このうち、移動販売車と引車は保健所の営業許可が必要になる。行商は届出制なので許可の必要はない。形態によっては販売できない食品もある。都道府県で販売が許可される食品は異なるが、例えば東京都では引車で生もの、さしみ、米飯類、生クリームなどを販売することが禁止されている。

 移動販売車は、調理するかしないかで許可の条件が異なってくる(表)。車内で調理しないならば、販売できるのはあらかじめ包装されている商品のみ。車内で調理する場合でも「生もの」は禁止される。

移動販売車の許可。すべて自動車の場合
(参考:東京都福祉保健局のホームページを参考に筆者作成)
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1978年佐賀県生まれ。佐賀県庁で食品のブランド化に関わる。その後、大学院で農業政策や食品安全に関するリスクコミュニケーションを学ぶ。食品コンサルタント会社を経て、現在は社会的関心が高い科学ニュースについて専門家のコメントを収集しジャーナリストに提供する活動をしている。関心のあるテーマは、農業、食品流通、食品安全、リスクコミュニケーション。


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