はじめに
日本が東京オリンピックを迎える2020年はどんな年になるのだろうか。オリンピックが明確は目標となり、政治のねじれ解消とも相まって、国土強靭化や社会保障など懸案分野の進捗が期待され、東京をはじめとする日本全体が大きく変わることが予想される。リニア鉄道も一部開業するかもしれない。
同盟国の米国は「世界の警察官ではない」と公言するように内向き傾向を強めており、国家を挙げて反日に突き進んでいる中韓や、一筋縄ではいかない北朝鮮への抑止力低下が危惧される。
他方、中国では貧富の格差拡大が懸念され、中華民族の復興というナショナリズムの高揚は日本への脅威となって顕在化するかもしれない。
1980年代には一時中国の崩壊を予想する向きもあったが、改革開放が成果をもたらし国力増進につながった。崩壊したのは口の端にも上っていなかったソ連であった。
ここで簡単に、国際社会の変遷を既に過ぎ去った20世紀で振り返ってみよう。
20世紀を20年ごとに診る
時代はどれくらい急速に変わるか、すなわち予測はどれくらい当たるかと言ってもよいが、ジョージ・フリードマン著『100年予測―世界最強のインテリジェンス企業が示す未来覇権地図』で概観してみる。
著者は「影のCIA」の異名を持つ企業のCEOで、政治、経済、安全保障に関わる独自の情報を米国政府機関や外国政府などにも提供している。
氏の1900年代回顧では、20年ごとにものの見事に変化の大局をとらえている。1900年は平和で、かつてない繁栄を享受していた欧州が東半球を支配していた。
その欧州が、1920年になると大きな苦しみを伴う戦争で引き裂かれ、数百万人の命が失われる。オーストリア・ハンガリー、ロシア、ドイツ、そしてオスマン・トルコの各帝国は消え去ってしまう。
共産主義がロシアを席巻するが、永らえられるかどうかは定かでなかった。欧州勢力圏の周辺部に位置した米国や日本が大国となり、不利な講話条約を押し付けられたドイツは浮上するはずがないと見られていた。
そのドイツが1940年になるとフランスを征服し、欧州を支配する。共産主義のソ連はナチス・ドイツと同盟を結び、今後100年間のヨーロッパの運命は決まったかと思われた。
しかし、1960年になると、ドイツは米国とソ連によって占領され二分される。米ソの対立が起こり、米国はソ連を包囲し、圧倒的な核装備でソ連を全滅させることもできる超大国になっていた。