2013年10月12日(土)と13日(日)の2日間、宮城県柴田町にある仙台大学キャンパスで、「第3回東北こども博」が開かれ、1万8000人を超える親子連れでにぎわった。
最寄りの駅はJR東北本線・船岡駅で、仙台駅から30分、福島駅から50分かかる。交通の便に恵まれているとは言えないロケーションだが、岩手、山形、福島など他県からの来場者も多いイベントとして定着したと言えそうだ。地域おこしという観点から、このイベントを考えてみたい。
アンパンマン、ウルトラマンから地元のゆるキャラまで
こども博は、東日本大震災で被災した東北の子どもたちを元気づけようと、日本玩具協会が企画した。震災後間もない2011年夏のことで、どこも復旧に忙しい時期だけに会場探しが難航しそうだった。たまたま玩具協会の担当者から共通の友人を通じて相談を受けた筆者が、勤務先でもある仙台大学(宮城県柴田郡柴田町)を紹介したところ、福島県に近いということで玩具協会は喜び、仙台大学の朴澤泰治学長も了解したので話はとんとん拍子に進み、この年の10月8日と9日に第1回のこども博が開かれた(写真1)。
第1回の入場者は、2日間で約1万4000人。仙台大学にとっては、それまで約1000人の学園祭が入場者の最も多いイベントだったので、桁違いの入場者になった。
柴田町は、山本周五郎の小説『樅ノ木は残った』で有名になった船岡城址公園や、隣接する大河原町にかけての白石川堤の「一目千本桜」などが桜の名所で、開花シーズンになると20万人を超す花見客でにぎわうものの、そのほかの季節は、これといったイベントはなかった。
こども博で、町の商工会がキャンパス内にテントを張り、焼き鳥などの屋台を出したところ、午前中で売り切れてしまった。
ということで、初回の想定外の入場者は、大学にとっても、地域にとっても、大きな意味合いを持つイベントになった。こども博を主催する実行委員会には、日本玩具協会会長、仙台大学学長、柴田町長らに交じって、筆者もNPO法人東日本大震災こども未来基金の理事長として名を連ねたので、個人的にも因縁浅からぬイベントになった。
こども博が大勢の入場者を集めたのは、なんといっても、玩具メーカーがそれぞれの人気おもちゃで遊ぶ場所をつくったことや、いろいろなぬいぐるみのキャラクターを登場させたことだと思う。