携帯電話ショップで手に取った機種がサムスンで、慌てて国内メーカーの機種を探した──という人は少なくないのではないだろうか。薄型テレビを買うなら、AQUOS(シャープ)かVIERA(パナソニック)か──大抵の人は、国産メーカーしか選択肢に入れていない。

 日本の工業製品は世界一の品質。まさか、韓国メーカーに負けるはずはない──多くの日本人がそう思っているだろう。

 しかし、今や、サムスンやLGなど韓国メーカーが不人気なのは日本だけ。

 ウォン安を背景にV字回復を見せた韓国は世界経済で存在感を日に日に増している。韓国ブランドの家電製品は「中国製よりも高品質、日本製よりもお手頃」という立ち位置を確立し、世界中で急速にシェアを伸ばしている。パリやロンドンの量販店でも、日本メーカーを抜いて人気トップだ。

家庭に浸透するか?米見本市の目玉、3Dテレビ

米ラスベガスの家電見本市でサムスンの3Dテレビを体験する来場者(2010年1月)〔AFPBB News

 もちろん、独自の開発力、品質安定性・耐久性では、いまだに日本の優位は揺るがない。しかし、今こそ、虚心坦懐に韓国の強さに学び、時には韓国企業と手を組んで市場開拓する道も真剣に検討すべき時ではないか。このままでは、日本は韓国企業に連敗する──そんな危機感を持つべきだ。

 日本貿易振興機構(JETRO)海外調査部の協力で、JETROの世界の駐在員事務所の現地調査を基に、ライバルの戦力分析と、チームジャパンが取るべき処方箋をまとめた。

韓国のアジアへの集中投資戦略

 世界貿易における韓国のシェアは2000年以降2.5%前後で推移してきたが、2009年の輸出総額は3635億ドルで、シェアは3%前後に上昇する見込みだ。最大の追い風となったのはウォン安。2009年半ば以降はウォン高傾向になっているが、それ以上のペースで円高が進行しているため、日本企業にとって韓国企業との輸出面での競争は厳しさが増している。

 韓国は2005年頃からは対外直接投資も積極化させている。中でも目を引くのが、「アジアへの集中投資」だ。韓国輸出入銀行の統計によると、韓国の直接投資累計額の5割近くがアジア向け。統計の種類が異なり、単純比較はできないが、日本の対アジア直接投資が2割強に留まっているのと比べると、韓国の「選択と集中」路線は鮮明だ。