防衛省には朝日新聞記者も詰めている。その割には国家存続の基本である安全保障(憲法改正・集団的自衛権行使容認など)や自衛隊に関する報道が少ない。

 しかし、国家の安全を毀損し政治を不安定化させ、日本と日本人を世界の笑いものにするような報道には注力する。そのような事例がここ1か月間でいくつかあった。

 麻生太郎副総理は安倍晋三政権のナンバー2でありながら、政権が目指す改憲が“熱狂の中で行われてはならない”ことを強調する意味で、ワイマール体制の崩壊をナチス台頭との関係で語った。橋下徹日本維新の会共同代表がコメントしたように、並みの国語力があればブラックジョークであり、内容は容易に理解できる。

「シリア内戦の死者10万人以上」 国連事務総長、平和会議の早期開催訴え

国連職員としてふさわしいか世界中から疑問視されている潘基文国連事務総長〔AFPBB News

 むしろ潘基文国連事務総長の発言こそ、日中韓について問われながら日本のみを糾弾する、立場をわきまえない言語道断で、後に釈明したように中韓も同時に批判しているとはとても思えない。

 政府は大局的立場から「釈明」を了としたが、国益や国家の尊厳に関わる視点からマスコミは大いに問題視すべきことであった。

 しかし、朝日新聞(以下、朝日とも略記、他紙も同様)は麻生氏の講演主旨を捻じ曲げ、「ナチス政権を肯定」しているかのような記事に仕立てて政権にダメージを与えようとしたが、潘氏発言ではむしろ肯定するような報道をした。

 そのほか、靖国参拝報道や新しい法制局長官の指名なども含め、全国紙の報道姿勢を検証する絶好の機会となった。

朝日新聞の世論操作は以前から

 私的なことであるが、連れ合いは他人が読んでいる新聞をこっそりと覗き込む習性がある。相手と目が合うと一瞬気まずい思いをするが、「熱心にお読みですね」と言うと容易に免じてくれるそうである。

 また、漢字に関心があり、「1つ分からない漢字があったのですが」と話をつなぐと、親切に話に乗ってくれるともいう。その成果を持ち帰っては漢字を読めない人が多いと愚痴り、便利なコンピューターのお陰で漢字判読率が低くなり、昔の書籍はどんどん読めなくなるだろうと一人心配している。

 そのうえで、今日の新聞に「○○社倒産」「△△大臣が失言 罷免?」 などと書いてあったと話を続け、「□□内閣も長くないのかも」と結論づける。

 当方はスポーツ紙かタブロイド判の芸能紙だと思い込み、「“売らんかな”の一心で面白おかしく書いているから、一寸したことを大風呂敷に広げているんだよ。スポーツ紙などは話半分で、話題提供くらいの気持ちで受け止めた方がいい」と答えるしかない。ところが「いや、朝日新聞に書いてあった」というので、吃驚したことがしばしばある。

 『朝日新聞の戦争責任』(安田将三・石橋孝太郎共著)は1995年に出版された。その副題は「東スポもびっくり!の戦争記事を徹底検証」である。