日本の地熱発電技術、世界一から滑り落ちる危機

発電量が安定、コストも安いのになぜ二の足踏むのか

2013.08.30(金) 川嶋 諭
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福島第一原子力発電所から漏洩が続く高濃度の汚染水は非常に厄介な問題だ。しかし、これを早期に解決できないようでは日本が原発を再稼働させる資格はない。東京電力任せにせず国を挙げて全力で取り組む必要がある。

 一方で、この問題が示唆するのは、原発に代わる代替エネルギー源を一刻も早く開発、実用化させていくことだろう。恐らく、その最右翼にいるのが地熱発電である(地熱発電に関するこれまでの記事12)。

世界第3位の地熱資源大国

 何しろ、日本は小さい国土ながら地熱の資源では世界有数の資源国なのである。日本の地熱発電研究で第一人者である弘前大学の村岡洋文教授(北日本新エネルギー研究所長)によれば、地熱資源量が最も多いのが米国の3000万キロワット。

 次いでインドネシアの2779万キロワット。これに次いで日本は世界第3位。2347万キロワットもの資源を有する。4位以降は一気に資源量が激減して、4位フィリピンとメキシコが600万キロワットでしかない。

 米国の陸地面積が963万平方キロで日本(38万平方キロ)の約24倍、インドネシアの陸地面積は191万平方キロで日本の約5倍であることを考えると、地熱資源の密度はこの2つの国を圧倒する。

 しかし、前回書いたように日本は原発一辺倒にエネルギー政策の舵を切ったために、この豊かな資源をほとんど開発してこなかった。その結果、今や人口がわずか32万人のアイスランドよりも地熱発電量は少ない。

 日本が原発に現を抜かし、日本の地下に眠る大資源に見向きもしなくなった頃、エネルギー自給に敏感な世界の国々は、日本よりも圧倒的に少ない地熱資源を効率良く回収する仕組みにしのぎを削り始めた。

 それがバイナリー発電という方式である。これは日本のように恵まれた地熱資源のない国が、少ない資源を有効活用する発電方法だ。

 日本では少し地中深く掘れば、地熱発電に適した摂氏200度以上の熱水を容易に得られるが、資源の乏しい国ではかなり深く掘っても得られる熱水はせいぜい150度にしかならない。あるいは温泉のように100度以下の場合もある。

 こうした温度の低い熱水では、蒸気の力が弱く発電効率が極めて低くなる。そこで、温水の熱を熱交換器を通して冷媒と呼ばれる沸点の低い化合物に移し、その冷媒が低い温度でも蒸発して勢いよく噴き出す力を利用してタービンを回し発電するのがバイナリー発電だ。

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早稲田大学理工学部卒、同大学院修了。日経マグロウヒル社(現日経BP社)入社。1988年に「日経ビジネス」に異動後20年間在籍した。副編集長、米シリコンバレー支局長、編集部長、日経ビジネスオンライン編集長、発行人を務めた後、2008年に日本ビジネスプレス設立。

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