過疎化が進む地方からしてみれば、贅沢すぎる悩みと思われるだろう。しかし、神奈川県にも産業空洞化の波は押し寄せている。「規模が大きければそれでよし」の時代は終わった。どんな経済圏を目指すのか――そのグランドデザインが問われている。
東京と近すぎるのが泣き所。神奈川県を本社とする大企業はほとんどない(横浜市のみなとみらい地区)〔AFPBB News〕
多摩川を挟んで東京に接し、横浜市・川崎市・相模原市と3つの政令指定都市を擁する神奈川県は、これ以上望むべくもない羨ましい環境──と、きっと誰もが思うだろう。しかし、神奈川県にとっては、東京と近すぎることが泣き所。意外なことに、神奈川県を本社とする大企業はほとんどなく、神奈川県の経済関係者は自嘲気味に「支店経済」と呼ぶ。
東京以外に本社を置くグローバルカンパニーと言えば・・・京都の京セラ、任天堂、大阪のパナソニック、シャープ、愛知のトヨタ自動車、広島のマツダ、浜松のスズキ自動車などがすぐに思い浮かぶ。これらの企業は、世界企業であると同時に、そのエリアの代名詞的な存在であり、名実ともに地域経済の牽引役を担う。
東京に近すぎて、独自の経済圏をつくれなかった神奈川
神奈川県庁では、「神奈川県の企業」と言われてイメージできる企業があるだろうか。
内閣府がまとめた県別の国内生産によると神奈川県は31兆9600億円(2007年度)と、世界経済を揺るがす震源地となっているギリシャに匹敵するだけの経済規模を誇る。しかし、神奈川県内に本社を置いているビッグネームはほとんどない。売上高10兆円規模の企業と言えば、2009年に横浜に本社を移した日産自動車のみというお寒い状況。
神奈川県経済を支えてきたのは、主に東京に本社を置く企業の大規模生産拠点や、さらにその傘下の下請け、孫請けの工場群だ。京浜工業地帯を思い出せば分かりやすいだろう。
オペレーションの「頭脳」は神奈川県内にあるわけではなく、単なる生産現場。トラブルがあれば、すぐに東京本社から担当者がすっ飛んでくる。自主性もオリジナリティも発揮できない。だから「支店経済」と卑下したくなるのだ。
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