自民党圧勝の参議院選挙から1週間が経った。
民主党は東京都議会選挙に続いて惨敗を喫し、解党が現実味を帯びるほどの凋落ぶりである。都市型政党として出発しておきながら、東京選挙区では候補者の一本化に失敗した挙げ句に議席はゼロ、大阪でも議席を獲得できなかった。惨敗のあとにも細野豪志幹事長の辞任、かつて総理を務めた鳩山由紀夫氏、菅直人氏の処分を巡る騒動などゴタゴタが続き、民主党はもはや政党としての体を成していない。
橋下徹大阪市長が共同代表を務める「日本維新の会」も、一時期の勢いを完全に失った。昨年の今頃は、各党の党首に大阪詣でをさせて、その気になればいつでも天下を獲れるといった鼻息の荒さだった。ケチの付き始めは「太陽の党」との合併で、東京都知事を辞した石原慎太郎氏とのツートップ体制になってからというもの、橋下徹氏にはパワーも色気も感じられなくなった。
「いずれボロを出す」「あんなヤツを総理大臣にするほど日本人は馬鹿じゃない」といった橋下氏への罵詈は大阪府知事時代から飛んでいた。しかし、週刊誌に被差別部落の出身であることを書き立てられてもなお橋下氏の人気は衰えず、四方八方からのバッシングをエネルギーに変えて突き進む姿はヒーローの資格十分といった様子だった。
誤解のないように断っておけば、私は橋下徹氏の支持者ではない。「根は臆病者だな」というのが私の見立てで、石原慎太郎氏のこともずっとそう思ってきた。ただし、臆病者は見境をなくすと、何をしでかすか分からない。JBpressのイズメディアモールで小説『日本消滅』を連載したのも、橋下氏に対する警戒感からだった。つまり、先回りをして叩いておかなければと思い込むほど、私は橋下氏の行動力を驚異に感じていたのである。
それが杞憂だとはっきり分かったのは、沖縄に駐留している米軍に風俗の利用を勧めた発言によってだった。第2次世界大戦の戦勝国(=国連)がつくり上げた現在の国際秩序を覆すために、どれほどの準備と覚悟が必要なのかも分からない輩が一国の宰相を務められるはずがないからだ。
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それにしても、「日本維新の会」の政権放送は酷かった。視聴者から見て左側に橋下氏、右側に石原氏が座っている。2人は互いに向き合い、自分たちの主張を訴えるべき有権者を一顧だにせず、仲間褒めを繰り返すばかりなのだ。