4カ月程前、読売テレビの「たかじんのそこまで言って委員会」に出演した際、ゲストとして元小沢一郎秘書の石川知裕衆議院議員が招かれていた。
議論の中で「小沢一郎の国家観とは?」「国家観もないのにカリスマ性はあるのか?」等々、パネラーから矢継ぎ早に石川議員に質問が投げかけられた。
石川議員も真摯に自分の考えるところを述べていたが、私は国家観とカリスマ性はいつでも一対のものではないと思っていたので、次のような意見を述べた。
「小沢のカリスマ性は国家観とは関係ない。小沢にカリスマ性があるとしたら、それは2度にわたって自民党政権を倒し、政権交代を実現したからだ。1度目は1993年の非自民を旗印にした細川護熙を首班とする連立政権を誕生させたことだ。2度目が3年前、小沢が民主党幹事長として自公政権を倒し、政権交代を実現させたことだ」
小泉純一郎は「改革に反対すれば自民党をぶっ壊す」と宣言して、国民の拍手喝采を浴びたが、本当の意味で自民党に壊滅的な打撃を与えた政治家が小沢一郎であることは、間違いない。
いま日本の政界を見渡しても、これだけのことを成し遂げられる力を持った政治家がいないことは、小沢への好悪の感情にかかわらず認めざるを得ないだろう。
小沢の力は政権交代で終わってしまう
だが小沢一郎の剛腕は、残念ながら政権交代が実現した時点で終わってしまう。要するに、まとめていく力がないということだ。
細川連立政権の崩壊過程と、現在の風前の灯となった民主党政権を見ていると、実に多くの共通点があることに気付く。
細川連立政権を事実上牛耳っていたのは、新生党代表幹事、小沢一郎と公明党書記長、市川雄一の「一・一ライン」であり、中でも小沢一郎だった。細川連立政権は、社会党、公明党、民社党など野党経験しかない政党が中心で、与党経験があるのは自民党を離党したグループで結成された新生党と新党さきがけぐらいであった。
小沢の側近である平野貞夫元参議院議員によれば、総選挙で自民党が過半数を大きく割った際、小沢は「これは組み合わせによっちゃ非自民の政権ができる」と言って、山岸章連合会長をはじめ野党各党に働きかけを行ったという。