米国の国政の場で北朝鮮に対する拠点爆撃が改めて提案された。北朝鮮の核武装、そして核弾頭装備のミサイルの米国への発射能力取得を防ぐためには、最後の最後の手段として“もうこれしか方法がない”という意見だった。
その提案者がCIA(米国中央情報局)長官を務めた人物だったことから反応は大きく、真剣な議論が繰り広げられることとなった。もちろん日本にも大変な影響を及ぼすことになる対北朝鮮戦略の勧めである。
民主党のクリントン政権時代の1993年から95年にかけてCIA長官を務めたジェームズ・ウールジー氏は、6月14日に米国連邦議会内で開かれた「朝鮮半島問題と米国の国家安全保障」と題するシンポジウムで演説し、北朝鮮がすでに米国本土に到達する核弾頭装備の大陸間弾道ミサイル(ICBM)をほぼ完成させており、米国は自国の存続にかかわる重大な脅威を北朝鮮から突きつけられている、と警告した。
ウールジー氏は本来は民主党系の安全保障専門家で、民主党カーター政権時代には海軍次官を務めた。だがクリントン政権の末期ごろから民主党の国家安全保障政策に批判的となり、共和党の政策を支持することが多くなった。現在は「民主主義防衛財団」という安全保障政策研究機関の会長を務めている。
北朝鮮のミサイルが米国の国家インフラを滅ぼす
このシンポジウムは米国議会ともつながりの深い「韓米研究所」の主催で、連邦議会の一部である下院議員会館内で開かれた。基調演説をしたウールジー氏は次のような趣旨の衝撃的な発言をした。
・北朝鮮は、核弾頭を搭載して米国本土に撃ち込めるICBMをほぼ完成させた。
・北朝鮮は同時に核爆弾をも完成しており、その仲には米国本土に撃ち込まれた場合に強力な電磁パルス(EMP)を放射する特殊な核弾頭が含まれている。
・北朝鮮は特に爆発の際にガンマ線を放出し、EMPの放射へとつながる核弾頭の開発に力を入れてきた。
・米国がこのEMP放射の核弾頭の攻撃を受け、国内で爆発を受けた場合、電力供給はじめ国家の基本を支えるインフラ組織が壊滅するほどの被害を受け、国家の存亡さえも問われることとなる。