出るわ出るわ、DeNAベイスターズのトニ・ブランコ選手を筆頭に、今年の日本プロ野球では面白いようにホームランが飛び交っています。数字的にはここまでで前年同期に比べ5割近く増えているのだとか。

 この本塁打ブームにシーズン当初から「統一球」の仕様が飛びやすく変更されたのではないかと疑われていましたが、このほどようやくNPB(日本野球機構)がその事実を認めました。しかしそれは6月11日に仙台市内で行われた労組・日本プロ野球選手会(楽天・嶋基宏会長)との事務折衝で明らかにされたもので、NPBがこの問題について特別に記者会見を開いたわけではなかったようです。

コミッショナーは今すぐ辞任するしかない

 統一球の仕様変更やその隠蔽の是非は他のニュースや評論に譲るとして、ここではマスコミ対応という観点から、球の仕様変更の公表にまつわるNPBの行動を評価してみたいと思います。

 こんな有事に広報パーソンとして職業的に考えるべきことは、明らかにネガティブインパクトしか与えないであろうこの案件についてどうすればそれを最小化できるか、だけです。

 しかし本件は広報上のテクニックだけで収束させられるほど甘っちょろい案件ではありません。仮にこの「発表」のネガティブインパクトを最小限に抑えたいなら、そもそも最初からコミッショナーのクビを差し出して「謝罪」「引責辞任」会見にするほかないと個人的には考えます。

 言ってしまえば、コミッショナーが全責任を一身に負う形で事態を収拾するのがベストであるということです。

 広報の分際でトップ人事に口出しするのもおこがましいのですが、時に広報はメディア対応ないしは世間の反応という観点から、経営の根幹に立ち入るようなことを意見しなければならないと常々思ってきましたし、かつて筆者が仕えた経営者の多くは幸いにもそういうマインドを持っていました。

 どのみちこの件で加藤良三コミッショナーの責任が問われ、遅かれ早かれ引責辞任せざるを得ない状況に追い込まれるのは火を見るより明らかです。