トマトの収穫最盛期を迎え、「トマトフェア」と称して様々なトマトを販売する店舗を見かけるようになった。近年、トマトの人気が続いている。2006年にはトマトの専門店がオープン。トマトをメインにしたレストランと、トマトの加工品を販売する複合型店舗が、現在都内を中心に多店舗展開している。2012年には「トマトはメタボ予防に効果あり」と報道され、店頭で品薄になる店もあったという。「トマト鍋」など食べ方も広がってきている。
そんなトマトの全国的なブランド化が加速している。「桃太郎」、高糖度の「アメーラトマト」「みつトマト」「光樹とまと」「あまエル」。塩分が多い土壌で作られる「塩トマト」といったものもある。数えればきりがないほどだ。
なぜ、いまトマトのブランド化が加速しているのか。ブランド化に成功した事例を取り上げつつ、背景を見ていきたい。
全国各地で栽培されるトマト
(参考:農林水産省「平成24年産春野菜、夏秋野菜等の作付面積、収穫量及び出荷量」より筆者作成)
4月上旬、都内の高級百貨店。野菜売り場で「トマトフェア」が開催されていた。ずらりと並んでいたのは、フルーツトマト、完熟トマト、チェリートマト、メロン並みに甘い高糖度トマト。いまや全国各地に特徴を持つトマトがある。
トマトは、暖かい気候の中で育つ。夏から秋にかけては主に茨城県や北海道、秋から春にかけては熊本県などで採れる。「農林水産統計」によると、トマトの生産量は2012年度で「夏秋トマト」が35万2500トン、「冬春トマト」が36万9800トンとなっている。
生産量1位は熊本県。2位は北海道、3位は茨城県と続くが、全国各地に産地が分散している。
トマトの種類は、大きく分けると、大中小の順で「大玉トマト」「ミディトマト」「ミニトマト」の3種類。これに加えて、最近は甘みの強い「フルーツトマト」、極小の「マイクロトマト」、酸味と香りが強く調理用に使われる「サンマルツァーノ」など、多種多様な品種が市場に出回っている。
このように様々な種類のトマトが栽培され、各地でブランド化が進んでいる背景は何だろうか。3つ挙げてみたい。