東京から南西へ約5時間、大小7100以上の島々からなるフィリピン共和国がそこにある。

 人口は約9400万人(2010年推定値、国勢調査)で、2015年には確実に1億人を突破すると言われているが、実際は既に突破しているとの情報もある。東南アジア諸国連合(ASEAN)の中でもインドネシアに次ぐ人口大国だ。

不名誉な評判を返上、一躍世界の注目を集めるフィリピン

マニラの超高層ビル群。一見すると日本と何ら変わらない近代的な場所も数多く見受けられる(著者撮影、以下同)

 以前は「アジアの病人」とも言われ、アジアの中でもお荷物的存在だった国が、BRICs(ブラジル・ロシア・インド・中国)の次の有望市場VIP(ベトナム・インドネシア・フィリピン)と呼ばれるようになった。

 さらに、英語力+若い労働力という「人材」の資源と今後の消費市場という両面で、今世界各国から大きな注目を浴びている。

 実際、2012年度の経済成長率は6.5%と、タイ、インドネシア、ベトナムよりも高い経済成長率を達成した。

 コールセンターの数はインドを抜いていまや世界一、そして日本から英語留学に来る学生の数は2010年に約4000人、2011年は約1万人、2012年には約2万人と毎年倍々ゲームで増加中だ(フィリピン観光省調べ)。

 前回のフィリピン人オペラ歌手との出会いから約2年が過ぎた昨年夏、この倍増する日本人留学生の市場の実態を確かめるべく、私と後に一緒に起業することになる鈴木光貴、渡辺和喜の3人はフィリピン・セブ島へと飛んだ。そこには日本企業と個人のグローバル化への大いなるヒントが隠されていた。

 楽天とユニクロによる社内公用語の英語化という取り組みを筆頭に、企業のグローバル化が必須と叫ばれる中、最近では私が会っただけでもグーグル、HIS、リクルート、DeNA、サマンサタバサなどの大手有名企業の社員が語学研修に訪れている姿が見受けられる。

 個人でも俳優の保坂尚輝氏、評論家の勝間和代氏といった著名人も短期留学を体験するなどの盛り上がりを見せ始めている。

激戦の就職を勝ち抜くために、韓国の若者が大挙してフィリピンに英語留学

 フィリピン英語留学の歴史を辿ってみると、約十数年前、ちょうど国際通貨基金(IMF)危機後の2000年頃からフィリピンの距離的な近さと人件費の安さに韓国が目をつけ、以来徐々に広がってきた。

 フィリピン観光省の調べでは現在フィリピン全土に500以上もの英語語学学校があると言われているが、まだそのほとんど約80%以上は韓国資本の学校であり、年間に12万人程が語学研修に訪れているというのだから数では日本はまだまだ比較にならない。