米アップルが23日に発表した昨年10~12月期の決算は、「アイフォーン(iPhone)」と「アイパッド(iPad)」の販売台数がともに過去最高を記録したが、売上高は市場予測に届かなかった。また次の四半期の業績見通しも控えめだったことから同社株は時間外取引で一時約11%下落して、458ドルまで値下がりした。

 同四半期の売上高は1年前から18%増の545億1200万ドル。これは四半期ベースで過去最高だったが、アナリスト予想の547億3000万ドルには届かなかった。またアップルがこの日示した1~3月期の売上高予想は410億~430億ドル。こちらもアナリスト予想の453億8000万ドルを下回った。

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主力のiPad(写真)やiPhoneの販売はまだ好調だが・・・〔AFPBB News

 10~12月期の純利益は130億7800万ドルで、これは1年前から0.1%増とほぼ横ばい。また同四半期の粗利益率は38.6%で1年前の44.7%、前の四半期の40%から低下した。

 主力のアイフォーンとアイパッドが好調に売れているにもかかわらず、利益は低下している。スマートフォンやタブレット端末の市場競争が一段と激化するなか、端末の低価格化が進んでおり、アップルもそうした市場環境の波に飲み込まれたと受け取られたようだ。

 例えばこの10~12月期は、値下げ販売しているアイフォーンの旧モデルに消費者の人気が集まり、利益率が低下したと言われてる。

 またアップルは昨年10月に廉価モデルのアイパッド・ミニを発売したが、サンフォード・バーンスタインのアナリストによれば、ミニの粗利益率は24%で、アイパッドやアイポッドタッチ(iPod touch)の30%よりも低い。廉価モデルが売れることで、アップルの利益が圧迫され、かつてのような勢いで成長する同社の姿はもう見られなくなるのではないかと懸念されている。

iPhoneは29%増、iPadは48%増

 ただ、決算発表の電話会見で同社のティム・クック最高経営責任者(CEO)は「こんな決算発表をしたテクノロジー企業はかつてなかった」と述べるなど、強気だ。

 同氏がそう言うのには根拠がある。1つはアイフォーンの販売台数だ。10~12月期のアイフォーンの台数は4779万台で、これまでの最高記録だった1年前の3704万台から29%増えた。