2012年2月、Web広告研究会で今年のWebマーケティング関係者が注目すべきテーマ、「Cooking Big Data(クッキング ビッグデータ)」宣言を行った。2012年の上半期にはあまり注目されていなかったこの宣言、夏くらいから急速に話題になってくれた。

「Cooking Big Data」宣言――客観的マーケティングへの意識を高める

 ビッグデータという言葉は確かにバズワードかもしれない。しかし、これをきっかけにデータを活用した客観的マーケティングを検討することは非常に良いことだと思う。これまでマーケティングに使ってきたデータを見直すだけでも、自分たちのマーケティングを進化させることができるだろう。

 例えば、テレビの視聴率をGRP(Gross Rating Point)で考えるべきか、TRP (Target Rating Point)で考えるべきか。もちろんこれからはTRPで考えるべきだが、そのような指標の見直しをするだけでも大きな進歩である。

 ところで、ビッグデータをマーケティングに活用したいと思っている人から、どのような書籍を参考にしたらよいかと聞かれることがある。そこで今回は、私の読書経験からいくつかの本を紹介したいと思う。

ビッグデータとは何かを整理したい人へ

 自分がビッグデータを理解していたとしても、周りの人に説明するのはたやすいことではない。

ビッグデータビジネスの時代』(鈴木良介著、翔泳社、1890円・税込)

 ビッグデータの定義は何か? そして周辺知識として必要なものとは・・・? これらについては、なるべく平易な言葉で説明を行うことが大切である。また、どの領域でビッグデータを活用すべきかを明確にすることもとても重要だ。

 『ビッグデータビジネスの時代 堅実にイノベーションを生み出すポスト・クラウドの戦略』(鈴木良介著)は、非常に平易に書かれて読みやすく、自分の中で整理をするのに良い書籍である。

 やや簡単すぎて物足りないという人もいるかもしれないが、組織の中でマーケティングやデータを専門としない人たちに理解してもらうには、このくらい平易に説明する必要があるだろう。

ビジネスでビッグデータ活用を始めようとしている人へ

 組織の中でビッグデータをビジネスに導入するには、その組織で分析しているデータやデータ分析への取り組み方の現状を理解したうえで、目的達成に必要なスタッフを集めないといけない。

 多くの組織でデータ分析を行ってはいても、それを次のビジネスの設計に生かしているかというと、必ずしもそうではないだろう。組織的にデータを活用すること、そしてデータ活用のための組織にリーダーが必要なことなどの課題を解決していかないといけない。