フレンチというよりも、どちらかといえばイタリアンの方が好きだ。

 イタリアの太陽の恩恵をいっぱいに浴びて育った食材に始まり、フェラーリやランボルギーニを生み出してしまうダイナミックさと同じ文脈で調理するシェフたちの職人芸はまさに芸術。雰囲気もフレンチのようにお行儀よく食べましょうというのでなく、皆でわいわいと楽しもうというのがイタリアン。愛がある。

イタリアンは楽しくて美味しくて賑やかだ

 ただ時に、その愛も重く感じてしまうような時もあるかもしれない。なぜなら、どこに行ってもメニューがほとんど同じなのだ。パスタ、ピザ、パスタ、ピザ、パスタ、ピザ、・・・。

 結果、飽きがくる。

 イタリアの外にいて時々食するからこその「イタリアン」なのであって、イタリアに住んでいればそれはただの料理なのだ。日本に住んでいて僕らがわざわざ「日本料理でも食べに行こう」なんて言わないように。

 (その点、東京という街はすごいと思う。パリやニューヨークにもある程度は食のバリエーションは期待できる。我らが東京はと言えば、各国料理のバリエーションも、そしてその味も世界一と言えるのではないだろうか)

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 ローマには10軒のコリアン・レストランがある。そのうち僕のオススメの3軒を紹介したい。

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【ビウォン】

 テルミニ駅からメトロのA線に乗って1駅目、ヴィットリオ・エマヌエーレ駅から徒歩5分。店の周囲には韓国人の経営する民泊や、小さいながらコリアン・スーパーマーケットもあった。

 街並を見渡すとアジア系の人たちを比較的多く見かける。元々は小さなチャイナタウンだったのかもしれない。観光客はあまり訪れないだろうな、という界隈。

 「ビウォン」は創業以来17年続いていて、ローマのコリアン・レストランとしては最も老舗だ。