「トゥインキー」という名前を聞いてすぐにピンとくる方は、米国の食品に精通されているに違いない。

 年間5億個が生産されている「トゥインキー」は、主に米国のスーパーマーケットやコンビニ店で販売されている片手サイズのスポンジケーキだ。バニラクリームが中に詰まっていて、日本のロールケーキのようにも思えるが、全くの別物だ。

企業倒産で愛好家が買い占めに走る

 というのも「トゥインキー」は米国ではジャンクフードの典型とも言われており、スナック菓子の範疇に入る。1年間、常温保存しても腐敗しないという都市伝説すらあり、コンビニの棚に並んでいる。1箱(10個入)が5ドル前後という値段だ。

 その製造元であるホステス社が11月21日に経営破綻した。1930年設立の企業で、米国にしては歴史ある組織だが、倒産する時は呆気なかった。

 同社は「トゥインキー」だけでなく「ワンダー・ブレッド」という食パンをはじめ、30品目の製パン・製菓を手がけるメーカーである。米国で知らない人はいない。

 同社倒産のニュースを耳にした人の中には、最寄りのスーパーやコンビニ店に駆け込み、「トゥインキー」を買い占める人も出た。買い占めた後にイーベイ(eBay)に出品された同品は、競売で1箱100ドルにまで上昇した。

 筆者は25年間の滞米生活で2~3度しか「トゥインキー」を食べていない。というのも、日本人の味覚としてはかなり甘いからだ。しかも腐らないという都市伝説も気になっていた。

 実は、ホステス社は2004年にも倒産し(当時の社名はインターステイト・ベーカリーズ)、会社更生法によって蘇っている。しかし、8年後の今、再び巨木は倒れた。

 従業員1万8500人の93%は解雇され、製造工場33カ所、そして565カ所の配送センターは閉鎖された。年間売上は約25億ドル(約2000億円)を維持し、製菓メーカーとしては5番目のシェアを確保していた。

 企業倒産は珍しくないが、そこから得られる教訓が必ずある。倒産の内情をうかがうと、2つの留意点が浮上した。