「朝鮮戦争以来の国難」――。1997年12月の大統領選挙で当選した金大中(キム・デジュン)氏は、韓国を直撃した通貨経済危機(IMF危機)をのちにこう評した。
あれから15年。韓国の経済社会は様変わりした。大胆な改革で「超競争社会」に生まれ変わり、経済強国に浮上した。
大改革への疲労感とバブル経済の後遺症
だが、12月の大統領選挙で有力な候補者が掲げる経済政策は「経済民主化」と「福祉国家」。猛烈な改革への疲労感とバブル経済の後遺症も出てきて、成長拡大一辺倒の政策からの転換を迫る声が強くなっている。
2012年11月22日の韓国の証券市場。サムスン電子の株価がじりじり上昇し、一時141万9000ウォン(1円=13ウォン)になった。結局、終値は前日に比べて3万3000ウォン高の141万7000ウォン。いずれも過去最高値を更新した。
スマートフォンの販売が好調に推移していることでサムスン電子の株価は年初以降上昇を続け、5月2日に過去最高の141万ウォン台に達した。
その後、アップルとの訴訟の行方が不透明になったことで株価は一時100万ウォン近くまで下がった。
しかし、8兆1200億ウォンという過去最高の営業利益を上げた7~9月期に続いて10~12月には9兆ウォン前後に達するとの見方が広がり、一気に最高値を更新した。時価総額も208兆ウォンを超え、上場企業の全時価総額の20%をサムスン電子1社で占めることになった。
まさに全盛期といった感のあるサムスン電子だが、つい今から15年前の1997年末は「悪夢のような日々」だった。
世界最強・サムスン電子の「悪夢のような日々」
ちょうどそのころ筆者は、東京で韓国のビジネスマン2人と赤坂の韓国料理屋で夕食を一緒したことがある。
席の近くにあったテレビで韓国のニュースを放映していた。主要企業の株価が画面に映った。サムスン電子の株価が4万ウォン前後だった。
4万ウォン! なんと今の株価の35分の1だ。