シュタルクECB(欧州中央銀行)理事やウェーバー独連銀総裁といったECB理事会内タカ派メンバーが、1月以降の追加利下げに消極的な発言を行うようになったことについては、すでに「世界利下げ競争」で筆者のコメントをお伝えした。その結果起こったのは、為替市場におけるユーロ急上昇である。

 

 

 ユーロ/ドルは、12月4日のECBによる0.75%利下げ直前には1.26~1.27ドル台で推移していたが、トリシェ総裁が1月追加利下げを示唆しなかったことや、ECB内タカ派からの利下げ慎重発言が材料視される中で、9日に1.30ドル台を回復。11日に1.34ドル台、15日に1.37ドル台、米国が0%近くへの利下げ実施と量的緩和宣言を行った16日に1.41ドル台。18日には一時1.4717ドルまで、急激なユーロ高ドル安となった。対円でも131.02円に急上昇。また、ECB公表のユーロ実効レート(EER-22)は、18日に117.77となり、一気に史上最高値を更新した。

 11月までのユーロ相場の大幅な下落については、ビーニ・スマギECB理事が11月18日時点で、「いまやユーロは輸出業界にとって一段と好ましい水準に戻った。私見では不満を述べることではないように思える」と発言していた(同日のユーロ/ドル相場は1.25~1.27ドル台で推移)。ところが、利下げの「出し渋り」からユーロが急上昇するということになると、景気に悪影響が及んできてしまう。

 また、シュタルクECB理事は18日公表の雑誌インタビューで、将来の利上げの必要性に引き続き言及しつつも、現在の状況では一段と深刻な経済危機を回避するために緩和的な金融・財政政策が適切だとした。