MRIC by 医療ガバナンス学会 発行

 2012年10月9日、安房医師会理事会(会長、副会長以外に6名の理事が出席)において、原徹安房医師会副会長が「安房地域医療センター 無料低額診療施設としての位置付けに関して」と題する文書を配布した。

原徹文書

 原徹医師は、千葉県医師会副会長であり、日本医師会代議員でもある。医師会活動に長年取り組み、医師会内で地位を獲得してきた。

 理事会では、間宮聰会長と3名の理事が、原徹文書の論理に沿って、安房地域医療センターで計画されている無料低額診療に対する反対意見を述べた。

 文書には署名が入っていなかった。私の問い合わせに対し、原副会長は、自分が健康福祉指導課に懸念を伝え、文書を書いたと答えた。

 文書中には、「安房医師会としての下記懸念があることを(千葉県庁健康福祉部・健康福祉指導課に)お伝えした」とあり、懸念の主体が安房医師会であることが示されている。

安房地域医療センター 無料低額診療施設としての位置付けに関して

 安房地域医療センターが無料低額診療を開始するとの情報を得た為、10月3日所管となる千葉県庁健康福祉部・健康福祉指導課から御意見を求めた。また安房医師会としては下記の懸念がある事をお伝えした。

(1)地区医師会所属の会員施設の患者さんも生活に困窮されている方は少なくない状況下にあり、無償ないし低額での保険医療提供は患者誘導、集患行為に当たるのではないか?

(2)社会福祉法人 太陽会が運営する病院であることは承知しているが、社会福祉法人の理事、評議員の構成が医師会組織や行政の意見を充分に反映する内容となっているのか? また経営の実態は鉄蕉会が担っている様に見受けられますが、社会福祉法人の趣旨を徹底する事が可能なのか?

(3)本制度に該当する患者さんを選定する会議などが公正に機能するのか?

(4)生活保護者に対する医療行為等を勘案すると、保険医療費が増加する可能性が否めないのでは? 本制度を運用する施設は、これまで民医連系等が運営する施設など、受診者自身の選択がある程度伴う施設が主であったが安房地域医療センターの位置付け、役割を再度考えるべきではないか?

 等々の疑問が生じます。