米グーグルと米国出版者協会(AAP)は先週、グーグルの「図書館プロジェクト」を巡る著作権侵害訴訟で、両者が和解したと発表した。両者は和解契約に関する詳細を明らかにしていないが、これにより出版社側は個々の書籍について、グーグルのプロジェクトへの参加・不参加を選択できるようになるという。

7年越しの係争、ようやく決着

図書館蔵書の電子化、7年越し訴訟で和解 グーグルと米出版社協会

グーグル本社に掲げられたロゴ〔AFPBB News

 これで出版社との7年越しの係争に終止符が打たれた。だがグーグルは全米作家協会(Authors Guild)から集団訴訟を提起されている。

 世界中の図書館の蔵書、1億3000万冊以上をすべてデジタル化するという構想を持つ同社には、今後もいばらの道が待ち受けているようだ。

 グーグルは公共図書館や大学図書館の蔵書をデジタル化し、インターネットで検索、閲覧できるサービスを2004年に始めた。このサービスでは、著作権の失効したものは全文閲覧できるようにし、著作権保護期間内のものはその一部を表示し、購入先や所蔵図書館を案内している。

 しかしこの行為が著作権侵害に当たるとし、2005年に全米作家協会などが集団訴訟を起こし、このとき併せて米国出版者協会を代表して出版大手5社が提訴した。作家協会と出版大手はその後協力し、グーグルが総額1億2500万ドルを支払うことで同社と和解した。

 ところが集団訴訟の和解は裁判所の承認が必要。3者は和解案の裁判所承認を待ったが、結局裁判所は「グーグルに一方的に有利になる」とし、これを認めなかった

 その後状況が変わり、作家協会とグーグルの交渉は決裂したが、出版大手とグーグルは協議を続けており、今回和解に至ったというわけだ。

 なお出版大手とグーグルの係争は集団訴訟ではないため、裁判所の承認は必要ない。また今回の和解は作家協会の集団訴訟には影響を及ぼさない。