本流トヨタ方式

スタンダードジャズが歌う“出会い”に
「ジャストインタイム」の真意を探る

2012.10.05(金)  田中 正知

本コラムではこれまで時間をかけて、豊田佐吉翁に端を発する「自働化」の話をしてきました。今回から、本流トヨタ方式のもう1つの柱であり、豊田喜一郎氏が唱えたとされる「ジャストインタイム」についてお話しします。

 「ジャストインタイム」というと、日本ではトヨタ生産方式の用語としての認識が強く、中には喜一郎氏が作り上げた「和製英語」と断ジる学者までいます。しかしジャズ愛好家の間では、米国で1960年代に流行ったジャズのスタンダードナンバーの題名として有名です。

 写真は、1950~60年代に活躍したアメリカを代表する俳優のディーン・マーチンです。彼は有名な歌手でもありました。そして「Just in time」という曲は彼の持ち歌の1つでもありました(YouTubeでディーン・マーチンの「Just in time」を聴くことができます。こちらです)。

 この名曲は現在に至るまで、フランク・シナトラをはじめ多くの歌手に歌い継がれてきています。筆者はディーン・マーチンの古いLPレコードを持っていますが、今年、綾戸智恵のCD「My Way」を手に入れ、その中にある「Just in time」を聞いて悦に入っています。

 さて、「Just in time」には以下のような歌詞があります。

Just in time, I found you just in time
Before you came my time was running low
I was lost, the losing dice were tossed
My bridges all were crossed, no where to go
・・・・・・・・・・・・

 ここでの「Just in time」は「ちょうど良いときに」という訳がピッタリで、さらに「悪いこと続きでヤケになる寸前に」という意味が込められていると思います。

 冒頭で「『ジャストインタイム』は豊田喜一郎氏が作った和製英語である」と断じる学者が多々いると言いましたが、筆者にはどんな理由でそう断じたのか理解できません。

 大正時代の東京帝国大学工学部卒のエリートであった喜一郎氏が、「ジャストインタイム」という英語を知らないはずがありません。正しく「ジャストインタイム」という英語を理解した上で、喜一郎氏は、技術者として、経営屋として、それまでにはなかった新しい技法や経営哲学をも、「ジャストインタイム」という言葉に押し込んでいったと考えるべきなのです。この点で「自働化」が佐吉翁の造語であったこととは対照的です。

 豊田喜一郎氏が、「ジャストインタイム」にどのような…

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