米フロリダ州タンパで共和党大会が開かれ、ミット・ロムニー候補が正式に指名を受けた。ロムニー候補はいま支持率ではバラク・オバマ大統領と互角の競り合いをしているが、影のようについて離れないのが宗教問題である。
カルト教団と揶揄されるモルモン教
同候補がモルモン教徒であることはすでに広く知られているが、多くを語ろうとしない。
それはモルモン教徒が米人口の1.4%でしかない少数派といったことだけでなく、かつては一夫多妻制を取っていたことや、他のキリスト教徒からカルト集団と揶揄されていることもあるようだ。
ただそれ以上に語られていないことがある。莫大な集金力を持った宗教団体との指摘だ。
ロムニー候補は5月から、オバマ陣営の選挙資金より多額の資金を集めている。それはモルモン教会の集金活動とは違う正式なルートで、連邦選挙管理委員会に届け出ているので問題はない。
米国内で問題視されているのは、日本の一部宗教団体でも見られる尋常とは思えない集金活動である。
収入の10分の1を協会に寄付せよ、との教え
モルモン教会の日本語の正式名称は「末日聖徒イエス・キリスト教会」という。1830年に米国人ジョセフ・スミス・ジュニアによって設立され、本部はユタ州ソルトレイクシティにある。
教会の特異性とも言われるのが「10分の1律法」と呼ばれるルールである。これは他の宗教団体のお布施とは明らかに違うものだ。
旧約聖書の申命記14章にその「10分の1」律法というくだりがある。すべての信者に対する強制ではないが、収入の10分の1を教会に寄付しなさいという教えだ。
全世界に約1380万人の信者がいるので、集金される金額は莫大である。敬虔な信者が多いため、正直に収入の10分の1を教会に寄付する人も多い。教会はその豊富な資金力を使って金融資産の運用をしている。