英エコノミスト誌が7月に「アジアの女性管理職:未開発の人材」という記事を掲載した(JBpressで7月13日公開)。欧米に比べ、アジア諸国ではまだ性差別が横行し、逆に女性にオープンな企業には成功のチャンスがあるとする内容だ。
その一節に、「日本や韓国――どちらも豊かな国――では、女性が取締役会に名を連ねる確率は、男性がお茶を出す確率と同じ程度だ」とある。大してキレのいい冗談とは思えないが、少子高齢化で労働人口が減少していく日本にとって、鼻で笑ってはいられない問題でもある。
日本ではなぜ女性の社会参画が遅れているのか。そして、 どこに解決の糸口があるのか。経済評論家で内閣府男女共同参画会議議員の勝間和代さんと、6月に『凛として立つ』を出版し、女性の生き方についての講演活動もしている作家・作詞家の吉元由美さんに対談をお願いした。(進行:JBpress編集長 川嶋 諭)
女性の労働力を活用すれば、税収も国力もアップする
川嶋 お二人は、最近新しくできた女性の会のメンバーだそうですね。
経済評論家、中央大学ビジネススクール客員教授。大学在学中から監査法人に勤務し、アーサー・アンダーセン、マッキンゼー、JPモルガンを経て独立。現在、監査と分析取締役、内閣府男女共同参画会議議員、国土交通省社会資本整備審議会委員を務めるかたわら、勝間塾を運営(写真:前田せいめい、以下同)
勝間 6月に「日本を変える女性の会」というのを立ち上げました。もともとは食事会を開くつもりでフェイスブックに書き込んだら、28人集まったんです。それで「28人もいたら日本を変えられるよね」ということで、そういう名前になりました。
川嶋 全員女性ですか。
勝間 そうです。年齢は千差万別、20代から50代です。
吉元 私が一番上くらいかもしれない(笑)
勝間 とにかくみんな元気なんですよ。日本は失われた20年といわれ、デフレに悩んだり、新事業が立ち上がらなかったりしている。でも、彼女たちは悩みとは無縁で、実力に応じて自分たちがすべきことをしている。
貧困対策のNPOを立ち上げたり、アンチエイジングの病院を経営したり、ベンチャー企業の社長や、銀座のママとか。
吉元 みんなパワフルですよね。自信もあるし。
川嶋 確かにこの失われた20年の間に、女性が急速に力をつけてきて勢いがありますよね。
勝間 でも、それはトップレベルの女性です。平均的な女性でいうと、日本は相変わらず先進国では最低レベルですよ。それはありとあらゆる数字ではっきりしています。
女性議員の数、女性管理職の数、男女の賃金格差、家事育児の分担割合、何一つとっても先進国ではものの見事にほぼビリです。先端部分だけ見れば本当に活躍しているのですが、問題は全体的なムーブメントになっていないということです。