Digital Experience! TOP>JBpress>マーケティング道場

王者フェイスブックの未来を左右するもの

ソーシャル化する社会が世界を大きく変え始めた(14)

2012.08.16(木) 小川 和也
    http://goo.gl/dKv3u
1
nextpage

 フェイスブックは8月1日、9億5500万人の利用者のうち、8.7%にあたる8309万人が重複もしくは虚偽アカウントにあたるユーザーであった(6月末時点)ことを米証券取引委員会(SEC)への報告書を通じて明らかにし、メディア上でも物議を醸した

株価の落ち込みと虚偽アカウント問題に直面するフェイスブック

フェイスブックに8300万人の「偽ユーザー」か

8300万人強の虚偽アカウントが発覚したフェイスブック〔AFPBB News

 これらのアカウントは具体的に以下の3つに分類されるという。

(1)重複アカウント(約4580万件、アクティブユーザーの4.8%に相当)

(2)分類が不適切なアカウント(約2290万件、アクティブユーザーの2.4%に相当)

(3)望ましくないアカウント(約1430万件、アクティブユーザーの1.5%に相当)

 まず(1)だが、フェイスブックでは利用規約上、1人1アカウントのルールになっているため、重複アカウントは規約違反にあたる。そもそも1人でいくつものアカウントを持っているとすれば、フェイスブックにとって重要な指標である利用者数の適正が問われることになる。

(2)については、企業やグループ、ペットなどのアカウントが該当する。企業などの場合は、個人用のアカウントではなくフェイスブックページを開設することになっているため、これもNGだ。

(3)は特に問題だが、スパムメール送信などを目的として作られたアカウントだとフェイスブックは見ている。

 フェイスブックは2012年5月18日(現地時間)の株式公開時に初値で42ドルをつけ、初値ベースの時価総額で約1150億ドル(約9兆1000億円)というとんでもない企業価値を世に示した。

 しかしその後、モバイル対応の遅れや収益成長性への疑念、株式公開後初めてとなる四半期決算が1億5700万ドル(約123億円)の赤字であったことも重なり、直近の株価は20ドル台の前半まで落ち込んでいる。

フェイスブックの根源的価値とは何か

 とはいえ、生まれてからまだ10年にも満たないフェイスブックが、依然として数兆円レベルの高企業価値であること自体は紛れもない事実だ。

 既存の広告収益モデル、今後のマネタイズ力については散々ネガティブな見方をされているが、それでもなお現状それだけの企業価値を保てているのは、機能やメディア価値以前のもっと根源的な価値と、それに紐づき得る収益の潜在性だと考えている。

 その根源的価値とは、質の良いIDを大量に抱えていることだ(今回問題になった重複・虚偽アカウントは論外、その他がフェイスブックの指すところの健全なアカウントであることを前提として)。

 ここで言う質の良いIDとは、むろん実名かつ実体的なプロフィールをベースとしたIDである。すなわち、IDにリアリティが担保されていることだ。

1
nextpage
  • PR
  • PR
新着記事
MORE
BackNumber
MORE
ArticleRanking

Kazuya Ogawa

アントレプレナー / デジタルマーケティングディレクター / 著述家
西武文理大学特命教授

小川和也オフィシャルサイトはこちら

慶應義塾大学法学部卒業後、大手損害保険会社勤務を経て、2004年グランドデザイン&カンパニー株式会社を創業、代表取締役社長に就任。数々のITベンチャービジネスや、デジタルマーケティングディレクターとして大手企業や行政、アーティスト等の先端的デジタルマーケティング事例を数多くつくり続けている。

ビジネスだけではなく、デジタルと人間や社会の関係の考察と言論活動を行っており、著書、寄稿、講演、メディア出演多数。主な著書に、「デジタルは人間を奪うのか」(講談社現代新書)、日本で初めての概念をテーマとした「ソーシャルメディアマーケティング」(共著・ソフトバンククリエイティブ)、「ソーシャルメディア維新」(共著・毎日コミュニケーションズ)、「Facebookマーケティング」(共著・ソフトバンククリエイティブ)、「ソーシャルブランディング」(共著・インプレスジャパン) など。

マーケティング道場

現在のマーケティングの課題、デジタルマーケティングの最新手法、マーケティング投資の考え方とは? 確実に顧客に届き、アクションを促す新しいマーケティングのあり方を探る。

>>最新記事一覧へ