米グーグルの4~6月期の決算は、売上高が122億1400万ドルとなり、四半期ベースで過去最高を更新した。今回は、5月下旬に買収を完了した米モトローラ・モビリティの業績を初めて反映した決算で、これに伴って売上高は1年前の90億2600万ドルから35%増と大きく増加した。

 ただその一方でモトローラの営業損益が2億3300万ドルの赤字だったため、連結純利益は27億8500万ドルとなり、前年比11%増にとどまった。また買収に伴いグーグルの正社員数は2万人以上増え、5万4604人になった。

クリック数42%増、クリック単価16%減

ネットサービスの電力消費量、米グーグルが初めて公開

モバイルに重点を置く戦略で「成長の痛み」が生じている〔AFPBB News

 モトローラの携帯電話事業を取り込んだことで、グーグルという会社は売り上げ規模も従業員数も拡大した。しかしその反面、赤字事業も抱えることになり、同社の利益を縮小させる要因になっている。

 グーグルは従来のパソコン用ネットサービスから、スマートフォンやタブレット端末などモバイル向けサービスにシフトしており、モトローラ・モビリティの買収もその一環だ。また先頃は同社初のタブレット端末「ネクサス(Nexus)7」も市場投入するなど、モバイルに重点を置いた戦略を鮮明に打ち出している。

 しかしこうした施策でグーグルには「成長の痛み」とも言える症状が表れるようになり、今回の決算でそれが改めて浮き彫りになったと指摘されている。

 例えば、検索と連動した広告収入の伸びを表すペイドクリック数は1年前から42%増加したが、クリック単価は約16%低下している。米ニューヨーク・タイムズによると、一般的にモバイル広告の単価はパソコンのウェブ広告よりも40%ほど低くなる。

 グーグルは、膨大な数のモバイル利用者を獲得できるようになり、広告クリック数こそ大きく伸びたものの、広告単価は低下した。今後、利用者が大量にモバイルに流れ込めば、グーグルの利益は縮小していくとニューヨーク・タイムズは指摘している。

モトローラ事業、赤字拡大の可能性

 ただし今のところ、パソコン用広告が堅調に推移しているようで、これが売上高全体の押し上げ要因になっている。この4~6月期の業績を見ると、「TAC」と呼ばれる提携パートナーに支払う手数料を除いた実質売上高は96億1400万ドル。これからモトローラ・モビリティの売上高を引くと83億6400万ドルになり、1年前の同条件の実質売上高から21%の増加となる。

 なおモトローラ・モビリティの赤字額の内訳は、携帯電話事業が1億9200万ドル、セットトップボックス(STB)など家庭向け機器の事業が4100万ドルだった。ただし、これは買収完了時点の5月22日から6月末までの金額だ。7~9月期の決算には3カ月すべての金額が盛り込まれるため、赤字額は拡大する可能性がある。