作家でエッセイストの浅見帆帆子さんとワタミの渡邉美樹会長がお友達だという話を聞いて、対談を企画した。内容は、先行きに明るさがなかなか見えない日本で、若い人たちはいかに生きるべきか。とても重いテーマで、いろいろな意見が交錯しているはずである。
しかし、浅見さん、渡邉さんとの対談は、ほとんどの場合「それ賛成」ですよと、対立軸の全くないまま終わってしまった。お2人とも極めて前向きなのである。
かつて「上を向いて歩かなくてもいいじゃないか」で紹介した『絶望名人カフカの人生論』の著者、頭木弘樹さんと『他助論』の著者、清水克衛さんとの対談とは正反対の内容となった。
一方で人生のマイナス面に向き合うことの大切さを話し、また一方では前向きに生きることの大切さを話す。何だか完全なノンポリに見られそうだが、実は両方には大きな共通点がある。
自分を大切にし、きちんと自分と向き合おうということである。そうすれば自分がやらなければならない何かが見えてくるということだ。
徹底的に不幸について考えてみるのもいいし、大きな夢を見るのもいい。たとえ変人扱いされようとも他人の意見に流された生き方だけはしない方がいい。
「思い込み」を原動力に、自分がワクワクすることをやればいい
川嶋 今回は浅見さんの本のタイトルにもある「使命」ということから話を始めたいと思います。
浅見さんには本を通じて伝えたいこと、渡邉会長にはご自分の使命をどう捉えているか、これまでの経験なども踏まえてお聞かせいただけますか。
浅見 今回の本のテーマは、タイトル通り「あなたの使命」です。使命というと、渡邉さんもそうですが、社会で大きな役割を担っている人や、大きな仕事をしている人だけが持つもの、言って許される言葉という理解がいままではあったと思うんです。
ところがそうではなくて、使命というのは誰にでもあるもの、その人が生まれてきた以上、何らかの役割がある、そういうものだと私は思っています。
では、その使命はどうすれば見つかるのか。簡単に言うと、いま心からワクワクすること、興味があること、居心地がいいなと感じることを追求していけば、そこにあなたの役割がある、という内容です。
渡邉 私はよく、自分が好きなこと、得意なことを追求していったら本当にその人がやらなければいけないことにぶつかる、という話をします。
最初から「使命」と構えるのではなく、浅見さんの言う「ワクワク」ですね。人は好きなことをやっていればワクワクしますよね。
そういう好きなことや得意なことをやるのが大事なんじゃないかなと思います。実際、私がそうで、これまでやりたいことをやってきたし、いまもやっています。