7月の声を聞く頃になると、そろそろロシアの新聞もページ数が少なくなり始める。7~8月は休暇シーズンだから取材の相手も1人減り、2人減り、でつかまらなくなる。
取材する側の記者だって同じこと、書き手も1人減り、2人減り、だから、皆がそれを予想して動き、済ませられることは6月中に全部押し込もう、になってくる。
疲れ切った表情を見せるプーチン大統領
そんなわけで、6月の後半には行事が集中しがちだ。
その中でも最大クラスの国際経済フォーラム(通算で16回目)が、6月21~23日にサンクトペテルブルクで開かれた。大統領の出席が2005年以来の慣例で、今年はドミトリー・メドベージェフに代わり5年ぶりにウラジーミル・プーチンの登場となった。
だが、本会議での彼の演説を聞いた向きからは、「どうも疲れていて精彩に欠けるね」といった評も聞こえてくる。
5月8日の就任以来の彼の動きを見れば、ここで疲れの一つも出ておかしくはないと誰でも思うだろう。国内で新政権の人事をさばくかたわら、機上が人生の半分を占めんばかりの外遊の連続。
しかも、会わねばならない相手は、誰一人とってもリラックスした話の場を与えてはくれないのだから。
6月18~19日とメキシコへ飛び、プーチンにとっては初めてとなるG20に参加。その際の1時間半に及ぶバラク・オバマ米大統領との初めての首脳会談では、終わってから硬直した顔つきで、「率直な意見交換を行った」(外交用語ではもちろん「交渉は決裂」の意)と述べるしかなかった。
米国のMD(ミサイル防衛システム)配置といった問題やシリアへの対処での対立に加えて、米国議会は通商法のジャクソン-ヴァニック修正条項に代えたマグニツキー法案*1を持ち出してくる。
*1=外資系投資ファンドの顧問弁護士として内務省の腐敗を告発したマグニツキーが、逆に脱税容疑で投獄され、当局から虐待を受けて2009年に獄中死。この事件を対ロ圧力を求めて已まない米国の強硬派がとらえ、ロシアのWTO加盟でその存在に無理が出てきた通商法での対ロ通商制限措置(最恵国待遇の1年ごとの供与、など)に代わるべき、警察・司法全般で違法な虐待措置を取ったロシア側官憲個人すべてに対する制裁(米入国禁止、米国内資産凍結)を課す法案として成立させようと動いている。