5月7日にウラジーミル・プーチンは、正式にロシアの第4代大統領に就任した。昔流に言えば重祚(ちょうそ)であり、彼にとっては第3期目の政権となる。(敬称略)

 権力が特定の人物に集中・固定化することに反対して、西側のメディアは容赦ない批判を浴びせる。就任式の前日にモスクワで行われた反プーチンのデモを取り上げ、これをプーチン第3期政権が長続きしないことの象徴として描き出そうとする。

誰よりもロシアの問題点を認識しているプーチン

プーチン氏、ロシア大統領に就任 4年ぶりの復帰

大統領就任式で宣誓するウラジーミル・プーチン〔AFPBB News

 だが、西側の読者もそろそろこの話題には飽き始めている。今さら吠えたところでプーチンが辞任してくれるわけでもない。

 それに、同じ時期にはるかに大きな関心が集まるフランスの大統領選やギリシャでの議会選挙が行われたものだから、ロシア報道への“飽き”は助長されてしまった。

 プーチンは、西側の批判など意に介さない、と自らを見せている。けれども、実際にはそれを常に子細にウォッチし、そしてどう対抗するかをあらゆる方面から考えているようだ。

 それも、多分批判している西側の面々以上にロシアが抱えている問題を深刻に捉えたうえでの話である。

 最近になって立て続けにロシア政府は、自国の領海での石油・ガス資源開発で、国営石油会社ロスネフチと米エクソンモービル、イタリアのエニ(Eni)、それにノルウェーのスタトイル(Statoil)との、これらの外資の参入を認める合意を達成させた。

 2008年以来の外資オフリミットの領域への参入許可であり、これはロシアの資源政策の大きな変換を意味するが、露紙によれば、プーチンは既に数カ月前にこの方針に承認を与えていたという。

 また、大統領に就任する前の首相時代の最後に、プーチンは市場経済主義の牙城たる財務省の提案をほぼそのまま受け入れて、ガスの生産分野への課税(資源採取税)強化に踏み切った。

 ロシア最大企業のガスプロム、それにプーチンの“お友達”が深く関わる民間のガス企業ノヴァテックは、様々な面で国策の聖域と見られていた。