夢は全米500店舗のおにぎり屋チェーン!

日本人の若者2人が健康和食・Onigillyを発信

2010.05.24(Mon) 佐々木 順子
筆者プロフィール&コラム概要

 長谷川さんの場合は「印象的だったのは、好きなブランドを見つけて、なぜそれが好きなのかを徹底的に分析する授業。自分が気に行っているカフェについて考えたら、商品、インテリア、ロゴ、すべてに一貫したテーマが流れていて、言葉にしなくとも客にメッセージとしてそれが伝わっていることに気づいた」。

 大手ナチュラルフードスーパーの「ホールフーズ」や、高級食材店の「ディーン&デルーカ」の担当者など、講師陣はとても豪華だ。しかも英語がおぼつかない移民のために、授業はすべて英語とスペイン語の2言語で行われる。

 プレインキュベーション期は、通常は修了まで1年ほどかかるが、Onigillyの場合、ブランドコンセプトなどは既に出来上がっていたので、半年で修了できた。

 インキュベーション期に入ると、「ラ・コシーナ」のキッチンを予約し、他の起業家たちとシェアして使い、商品を作る。

 チョコレートやクッキー、結婚式など特別な日のための凝ったデコレーションケーキ、日本で言う「お袋の味」にあたる伝統のミートパイなど、起業家たちはそれぞれの得意料理に腕を振るう。まだ自前の店を持てないうちは、地域のイベントやお祭りのブースで販売したり、ナチュラルフード店で扱ってもらう。出店コストが安く済むインターネット通販で販路を開拓する人もいる。

 キッチンのレンタル料は、インキュベーション期の起業家の場合は、相場の4分の1程度の1時間12ドル以下に設定されているので、売り上げが十分に稼げない時期にも利用しやすくなっている。

7月にOnigilly1号店をオープン

弁当ボックスは枝豆や和惣菜をベースとしたサラダ、ガリがセットになっているレシピ作りやイベントでの販売に協力してくれる仲間。Onigillyのマーク入りのオリジナルTシャツを着用中

 2009年8月、サンフランシスコのジャパンタウンのイベントで、Onigillyは初めてブースを出してデビューした。売れ行きは上々だった。

 1個2.25ドル。テリヤキチキンの他、ヒジキ海藻サラダ、自家製ナスマリネ、テリヤキ豆腐といったベジタリアンおにぎりも用意している。一番人気はミソツナサラダ。これは、日本でもお馴染みのツナマヨにミソを加えたオリジナルレシピだ。

 おにぎり3種と和惣菜のテイストを加えたサラダ、ガリ、枝豆をセットにした弁当ボックスは、7.95ドルだ(おにぎり4種入りは8.95ドル)。オリジナル、ベジタリアン、トラディショナルの3つのボックスがある。

 これまではケータリングとイベントへの出店を中心とした販売だったので、利益はまだそれほど上がっていない。しかし、2010年7月、金融街の近くにあるジャスティン・ハーマン・プラザに、ついに2人の記念すべきOnigilly1号店の出店が決まった。

 地元のストリートフード事業を支援するため、市が特別に許可枠を設けたもので、兼松さんと長谷川さんがプレゼンをして、多くの競合の中から出店舗に選ばれたそうだ。

 「好きなこと・得意なことで生活の糧を得ると同時に、それを通じて地域社会に積極的に参加していく。ラ・コシーナの活動は厳しい資本主義に原理に則ったビジネスとは違う、新たな選択肢を示せるかもしれない。こうしたやり方で地域社会が結びついていくことで、少しずつだけれど、社会を変えていける可能性がある」とカレブさんは希望を語る。 

7月の開店に向けて戦略会議(左から2番目が兼松光次さん、3番目が長谷川幹さん)。2人の意気込みに共感して、仕事や勉強の合間を縫って手伝ってくれる仲間が集まってくる

 この夏、ジャスティン・ハーマン・プラザにお目見えするOnigillyをサンフランシスコ市民はきっと受け入れるだろう。それが、他州にも広がり、カロリー過多のアメリカの食文化に一石を投じることができるかもしれない。

 兼松さんと長谷川さんが決めたOnigillyのミッションは「おにぎりをアメリカに広める/おにぎりを通じておいしくて健康で便利な食を広げる/カンパニー・スピリッツは楽しむ、成長する」。そして、そんな2人の「思い」「志に」共感して、仕事や勉強の合間を縫ってOnigillyの普及に協力してくれるたくさんの仲間も集まってきた。

 若者2人のチャレンジに心からの声援を送りたい。

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コピーライター、編集者を経て、2007年より米国サンフランシスコ在住。事業視察やテレビ番組のリサーチャー/コーディネーターも務める。テクノロジーによる社会のイノベーション、CSRや社会起業に特に興味がある。執筆NPO法人「ufp」会員。


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